岐阜県建築士会 女性委員会

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平成26年度活動報告ブロック会 後期 となみ大会

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東海北陸グロック会 後期 となみ大会 報告2

第2分科会 入道家前にて 集合写真



建築士会 東海北陸ブロック会 女性建築士協議会

平成26年度後期定例会議 となみ大会
日時:平成27年3月14日(土)~15日(日)
会場:オークス砺波平安閣
    (砺波市三島町11-8 電話0763-336-4522)
テーマ「-結(ゆい)-建築士・職人・素材・歴史 そして未来へ!」
参加者:4名

第1分科会
   テーマ「結(ゆい)」~建築士・職人・素材・歴史 そして未来へ!~
   (内容)講演会、空き家活用ワークショップ

第2分科会
   テーマ「素材から見える伝統技術と最新技術」(1日目)
   (内容)新光硝子工業(株)及び入道家 施設見学
   テーマ「時をこえ 心酔いしれる空間」~若鶴大正蔵改修設計~(2日目)
   (内容)若鶴酒造 施設見学


 

閉会式 女性委員長 挨拶



となみ大会 第一分科会 報告
 
「結(ゆい)」~建築士・職人・素材・歴史 そして未来へ!~
 
                       報告者:伊藤麻子
 
高山から東海北陸自動車道で金沢に向かう途中、深い山間の道を抜けるとそこに散居村があります。広々とした田園と家々と林のたたずまいが美しく印象的で、いつか訪れたいと願っていたことが今回、叶いました。
やはりここも過疎化が進み、存続の危機を迎えているということで、この特徴を活かした提案づくりのワークショップでした。
始めに講演会で、散居村(集落ではない)の特殊性と歴史を聞きました。
一つの住居単位でエネルギーの自立型循環ができていることが素晴らしい。講師の先生(立川談志似)の語りが面白くて、ためになりました。
次は現地見学です。意外にも町中に近いのに、(コンドミニアムとして利用されてはいるけど)空き家なので、閑散とした雰囲気です。じつにもったいない。うまく活用できると、とても素敵な場所になるに違いありません。
そしてワークショップに入ります。同じ県でグループが構成されて、顔なじみの青年委員の人たちと意見を出し合いました。
品格のある古民家、林、アクセスの良さ。これを踏まえて出てきたのは、
短期に訪れるよりも、留まって生活を味わってみたいという思いでした。
ほかのメンバーもそれは感じたようで、宿泊施設でも合宿できるとか、農業体験ができるなど、長期滞在型の意見が出ました。私はここで生活する住民のための小規模多機能型施設(デイサービス、ショートステイができるコミュニケーション施設)を提案
しましたが、なかでも「この地域をまるごと職人村にする!」という河本さんのアイデアが出色だったので、これに決定しました。
 単体での建物の設計は、今までもこれからも機会があるでしょうが、地域の計画はなかなか関わることができないと思います。プロ同志、話し合いやプランニングはわくわくして、本当に楽しい時間でした。(設計の作業で、お金や法律、その他諸々の現実問題が出てくる前の段階はいつもそうですけど。)
内容がだいぶまとまったところで一日目が終了となりました。次の日の発表も好評だったようでした。
他県の提案も気になりつつ、あの美しい散居村が活きた形でずっと続くことを願い、またほかの(地元飛騨でも)同じような危機に瀕している地域の発展も祈り、自分にも何かできることをしようと改めて決意いたしました。




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(第1分科会 二日目の様子)






第2分科会に参加して 
           
             
報告者:井之口洋子
 
第2分科会は大会会場から分科会会場までのバス車中にて 砺波の散居村について説明をして頂きました。

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(バスの中からの写真です。)
 
先ずは最新の技術を見るべく、新光硝子工業株式会社様の工場見学です。
 
社長自ら御社の硝子製品の強みを紹介して頂き、施工例を営業の方から見せて頂きました。最大の特徴は曲げガラスで強化硝子が出来るということでした。これを使い、今話題の北陸新幹線のフロントガラスもこちらの製品だそうです。
 
そして、高山の私たちがよく利用する特急ひだ号にもこの技術が生かされているとのことで、とても身近に感じることが出来ました。
 
 このガラスは曲げて、尚且つ強度を持たせるために合わせガラスにするそうですが、1つ作るのに10~12時間かかるとので、釜をいくつか使い1日2回は稼働させて生産されているそうです。特に合わせガラスは一度に何枚ものガラスを一緒に曲げるそうで、1枚でも傷がついたり、間違えたものは製品にならないそうです。
 
実際にガラスを曲げるための型枠や手作業でのガラスカットを見学させて頂きました。
小さいことでも遠慮せず相談してくださいとの社長の言葉をありがたく感じました。

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(工場入り口に到着です。)
 

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(食堂で会社の概要等の説明を受けます。)
 

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(商品の説明を受けます。)
 

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(工場内の見学に向かいます。工場内は撮影禁止でした。)

 
 
そして次の見学に砺波の典型的な散居村の住宅に伺いました。
 
この住宅は今でも住んでいらっしゃるとのことで、ガイドの尾田さんと御当主の入道さんにお話を聞きました。
 
散居村には『アズマダチ』と『マエナガレ』が残っているそうで、こちらは『アズマダチ』建築でした。屋根の向きが東向きだから『アズマダチ』と言われるそうです。
ちょうど正面から見るととても大きな屋根で、妻壁が美しいファサードでした。大規模な農家でヒロマが家の中心にありました。昔は10~30坪程度の家が多かったそうですが、戦後の農地解放で土地を広く使えるようになり、大きな家が増えていったようです。しかし、大きな家を好むには土地柄があったようで、浄土真宗が盛んであったこのあたりはひと月に一度、お講を開く習慣があり、いつしか自分の家でお講を聞きたいと願い、広い座敷を作るようになり、大きくなっていったようです。それが大阪は食い道楽、京都が着道楽、砺波は住道楽と言われる所以だそうです。
 
 住宅というのは、その土地の風土、習慣に深く根差していて、それがしっかり反映されていると実感しました。」

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(入道家正面)

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(住宅についての説明を受ける)

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(お庭も広くて立派でした。)



第2分科会 2日目 若鶴酒造見学に参加して
 
           報告者:長瀬 八州余
 
 二日目はお天気もよく、ホテルよりバスにて、オークス砺波平安閣へ向かいます。
第1分科会に参加する方は降りられ、第2分科会に参加される方が乗られて、若鶴酒造に向かいます。
 若鶴酒造の創業150周年と北陸コカ・コーラボトリング株式会社の創立50周年の記念事業として、一番古く、大正11年に建てられた『大正蔵』の改修がおこなわれ、平成25年に改修工事が終わりました。
 今は研修棟として使われている『若鶴大正蔵』の見学です。
 建物内に入り階段状のフロアーの席について、若鶴酒造の方の説明と社長の串田氏の挨拶の後、若鶴酒造の紹介DVDを見て、この大正蔵の改修設計をおこなった金沢工業大学教授 蜂谷俊雄氏の講演を聴き、その後建物の見学をおこないました。
 講演のお話は、大学の授業の一環として学生に考えさせながら設計を進め、古い建物であったので今の時代に合うように法的な手続きが大変でした。
 酒造りの精神を次世代に継承し、時間軸の中で生きる喜びを実感できる建築に再生することが設計のコンセプトですとのお話でした。
 建物内では日本酒の試飲もでき、美味しいお酒をいただきました。
 見学を終えて、再度オークス砺波平安閣へ帰り、閉会式に参加して、帰路につきました。
いろいろな所に見学に行き、内容の濃い二日間でした。富山の士会の方にはお世話になりありがとうございました。
 
注)昭和37年に、若鶴酒造社長 稲垣小太郎が、北陸3県におけるコカ・コーラの企業化に名乗りを上げ、大正蔵の一室にて北陸コカ・コーラボトリング株式会社を設立。

設計概要
木造切妻造桟瓦葺で、西面の土蔵造り、南面の漆喰大壁、東面のさしかけ造りが特徴。木造トラス構造により、柱の少ない大空間を実現。建築面積は794.16m2(約240坪)。


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大正蔵に到着して。パスの側に杉玉が見えます。


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社長さんの挨拶

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講演の様子

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建物内部見学

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試飲会場の様子

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排煙窓が外壁で隠れているので窓があることが全くわかりませんでした。お願いをして動かしていただきました。