平成30年度活動報告
平成30年度 第28回全国女性建築士連絡協議会(高知)その3 分科会報告
分科会
日時:平成30年7月29日(日)
会場:高知県立県民文化ホール
(高知市本町4丁目3-30 電話088-824-5321)
高知会館
(高知市本町5-6-42 電話088-823-7123)
参加者:3名
【 分科会 】 9:00~11:00(120 分)
会場:高知県立県民文化ホール 多目的室、高知会館
・A分科会「防災への取り組み」 司会者 :土居 純子 (高知県建築士会)
[第 7.8 多目的室] コメンテーター:北山 めぐみ (高知県建築士会)
・B分科会「建築女子がきずく未来」 司会者 :石貫 方子 (大阪府建築士会)
[高知会館 天平] コメンテーター:野上 珠理 (大阪府建築士会)
・C分科会「歴史的建造物と建物再生」 司会者 :本間 恵美 (北海道建築士会)
[第 6 多目的室] コメンテーター:曽我部 千鶴美(大阪府建築士会)
・D分科会「会員拡大に向けた取組み」 司会者 :滿原 早苗 (佐賀県建築士会)
[第 11 多目的室] コメンテーター:本房 美保 (鹿児島県建築士会)
・E分科会「自治体連携とまちづくり」 司会者 :新海 直美 (北海道建築士会)
[高知会館 弥生] コメンテーター:村越 千幸子 (山口県建築士会)
・F分科会「地産材」活用の取組み 司会者 :小林 淑子 (宮城県建築士会)
[高知会館 やまもも] コメンテーター:松橋 雅子 (秋田県建築士会)
・G分科会「高齢社会と住まい」 司会者 :筒井 裕子 (愛知建築士会)
[高知会館 平安] コメンテーター:竹中 美智子 (愛知建築士会)
・H分科会「既存民家の活用」 司会者 :多羅尾 直子 (東京建築士会)
[高知会館 飛鳥] コメンテーター:赤尾 苑香 (徳島県建築士会)
岐阜県参加分科会を示す。
A分科会 「防災への取り組み」に参加して
報告者:長瀬八州余
司 会:土居 純子(高知県建築士会)
コメンテーター:北山めぐみ(高知県建築士会)
【趣旨】
高知県は南海トラフ地震とそれに伴う津波が予想され、ハード・ソフト双方からの防災対策が進んでいます。そこで高知県建築士会では、リスクコミュニケーションを図り防災意識の向上に資する「逃げ地図づくり」のワークショップの学習と実践に取り組んでいます。
【ワークショップ】
高知市内のお城周辺の1/1500の地図が用意してあり、すでに津波避難ビルが記入してありました。A~Eの5グループにクラス分けをしてワークショップをおこないました。
A:付近在住で晴天の昼間
B:付近在住で晴天の夜間
C:旅行者で晴天の昼間
D:旅行者で晴天の夜間
E:車いす使用者で晴天の昼間
の各条件下で「逃げ地図」の作成をおこないます。
各グループには、高知県建築士会の人が居て、地図の説明をして下さるので、参加者はわからない所を聞きながら作業を進めました。
作業後、各グループで発表があり、高知県での取り組みの報告等があり、和気あいあいのうちに時間になりました。
(作業の様子)
(地図の様子)
(グループの発表の様子)
【感想】
「逃げ地図」ということを聞くのも初めてでした。
津波避難ビルという言葉は聞いたことがありましたが、しっかり認識するのは今回が初めてでした。
ワークショップの中での色塗りが、濃い緑→薄い緑→黄色→ピンク→赤と避難時間がかかるほど赤よりになっていくのですが、私が参加したAグループは条件が楽なので、黄色までで塗り終えました。しかし他のグループでは赤色もあり、条件によって全く違うことに驚きました。
地図を作成することが、主目的ではなく、その地域の人が集まり、コミュニケーションを取りながら、危機管理の認識をしていくことが、主眼なのだと感じました。
午後から参加のエキスカーションのバスの中で津波避難タワーを海沿いで多く見ました。
(バスの窓から、津波避難タワーを写す)
それと国道のバイパス工事では、すごく高い支柱を立てて作っていました。これも津波対策の一環だということでした。
逃げ地図の作りかたについては(一社)子ども安全まちづくりパートナーズのホームページからマニュアルがダウロードできますということでした。
(分科会Aの集合写真)
【逃げ地図の説明(日建設計のHPより)】
日建設計ボランティア部(社内クラブ活動)が開発した「避難地形時間地図」(通称:逃げ地図)とは、行政や住民の復興に向けた協議を支援するために開発した地図の記述方法のことを指します。対象となる地域の白地図上に、過去の津波記録から安全区域を設定し、高齢者がゆっくりと歩行してそこまで辿り着ける時間を3分ごとに色分けし、避難時間を可視化した地図です。その地図上の任意の箇所に避難路や避難タワーなどを設けた場合、安全なエリアがどれだけ広がり、避難時間がどれだけ短縮され、必要な経費がどのくらいになるかなどを明示します。
【津波避難ビルの説明】
津波避難ビルとは、津波が押し寄せたとき、地域住民が一時的に避難するための緊急避難場所として市町村によって指定されたビル(建物)を言う。地震発生から津波到達までの時間的猶予や地理的条件等の理由で、近くの安全な高台等への避難が困難と想定される地域において、ビルの高さや構造、耐震性などの要件を満たすものを選定し、市町村があらかじめ指定する。 津波避難ビルとして指定を受ける施設は、公共施設のほか、商業施設、民間マンションも含まれ、民間施設の場合、自治体が所有者と協定を結ぶ方式となっている。
(津波避難ビルのロゴ)
会場となった「高知県立県民文化ホール」も入り口にこのロゴが貼ってありました。
F分科会「地産材」活用の取組みを聞いて
秋田スギネットワークたかのすの取組み
『地産材の家づくり~地域の木とこどもたち~』
報告者:桂川麻里
司会者 :小林 淑子 (宮城県建築士会)
コメンテーター:松橋 雅子 (秋田県建築士会)
士会の活動ではありませんが、岐阜県林政部林政課の岐阜県木の国・山の国県民会議委員として、更にその中の「木づかい部会」に参加させて頂いて5年目となりました。最初は岐阜県内の森林の状態や県産材の使われ方等を知っていき、どうしたら岐阜県産材を使って頂けるのかという県内だけにしか目が向いていませんでしたが、他県ではどんな感じだろうと考え始めた時にちょうど「地産材」の活用の取組みというのが目に入り、今回の分科会に参加しました。
秋田県では平成14年10月から設計事務所、工務店、設備工事業者、建材店、製材所、プレカット工場、森林組合で構成された「秋田スギの家」供給グループが県内各地に県の補助金を元に出来たそうです。地域性を生かした個性的な活動を続けて来たそうですが、「金の切れ目が縁の切れ目」ということで、平成24年3月に県からの補助金がなくなったとたんほとんどのグループが終了してしまったそうです。
そんな中でも「秋田スギネットワークたかのす」は身近な活動を中心に続けているそうです。
活動内容としては「北秋田型住宅」の研究等は発足当時から続けられているそうですが、その他に平成26年からは「木育」を主たるテーマとして活動しているそうです。
建築だけでなく、木育「かきくけこ」に沿って様々な活動をしていけることが分かりました。
「け=経済を活性化させる」として製材所も減少していく中、住まいの材だけでなく杉の樽も作っている製材所は売上や従業員も増やしていくことや、「こ=子どもの心を豊かにする」として「きたあきたの木とくらし」という絵本を作成しているそうです。
今後の課題と活動としては、どの件も同じですが、地元の工務店・技能者減少やハウジングメーカーの進出に営業力が欠けるとして、空家の利活用も含めたリフォーム事業の情報発信を行ったり、昨年ウッドデザイン賞を受賞した「つみきこばこ(秋田杉)」は現在地域外の障がい者施設に委ねているが、地元の高齢者等と共に制作・販売をするビジネスを企画中だそうです。
この取組を聞いた後、分科会に参加した人々にも意見や、各県の取組みを一人1分を目安に発表して行きました。
その中で、秋田県さんから、杉材は梁に使わないのいではなく使えないという話題から、「使える、使えない」という意見が出て、県によって杉の扱いがこんなに異なるんだと実感しました。岐阜県ではE値等を目安にスパン表が作成してあり、それを元に設計をしていると説明しました。他に徳島県でもスパン表を作成していると聞きました。
また、先に記載した岐阜県林政部県産材流通課での取組や「ぎふの木のおうち」のすごろくの話をしたところ、すごろくは大好評で、可愛いし、分かりやすいという意見を頂いたり、全体会の時にも良い取組みとして取り上げて頂けとても嬉しかったです。
最後に、ここで取り上げてホームページで検索して欲しいものを紹介したいと思います。
きたあきたの木とくらし(絵本) 「秋田スギネットワークたかのす 絵本」で検索
つみきこばこ 「つみきこばこ」で検索
スパン表 「木材 スパン表」で検索 ※色々な県のものが出てきます。
(↑F分科会の様子)
(↑F分科会の様子)
H分科会―「既存民家の活用」に参加して
報告者:長尾則子
司会者 :多羅尾 直子 (東京建築士会)
コメンテーター:赤尾 苑香 (徳島県建築士会)
神山町が将来に向けて7つの施策領域に取り組み、その中のすまいづくりのひとつ「民家改修プロジェクト」を役場と神山つなぐ公社が両輪で進めている。地域の女性建築士がそこで奮闘している姿が、同じ女性として大変印象的でした。
机上だけでなく、町民・町内に出かけていき、何度も詳しい説明、バスツアー、広報紙、ブログで報告、など地域への発信やコミニを大切にした地道で丁寧な活動が成功につながっているように思えた。
なかでも、空家の庭の剪定を、近くの高校の造園土木科の実践授業にしているのは、所有者にはお金が掛からず、高校生には技術を付ける実習になり、良い方法であり、どこでも真似して出来るのではと思う。
改修後の住宅を使って、移住が成功する場合も、トラブルになる場合もあり、住む人の向き不向き等もあるというのは、移住に取り組んでいればそうだと思うので正直に淡々と伝えてくださるのが良かった。
この話は、私自身の良い勉強になり、自分の住む地域の空き家に取り組む参考にしたい。
(↑H分科会の様子)