令和6年度(2024)活動報告
令和6年度 第33回全国女性建築士連絡協議会(東京)その3 分科会
D分科会ではワークショップを行ったので、分科会内で発表を行っている。
日時:令和6年7月14日(日)~15日(祝月)
会場:日本建築学会 建築会館とZOOM
東京都港区芝5丁目26番20号
参加者:対面 名 リモート 名 合計 約300名
(岐阜県から 対面4名、リモート2名)
テーマ:未来へつなぐ「まち・ひと・建築」~インクルーシブな社会を目指して~
7月15日 二日目 分科会
参加人数は分科会報告での人数です。
会場で人数の報告がなかった分科会の参加人数は、括弧内で、申し込みでの人数です。
A分科会 対面 29名 WEB 13名 合計 42名
B分科会 対面 35名 WEB 20名 合計 55名
C分科会 (対面 15名 WEB 8名 合計 23名)
D分科会 (対面 28名 WEB 10名 合計 38名)
E分科会 対面 14名 WEB 4名 合計 18名
F分科会 (対面 19名 WEB 2名 合計 21名)
G分科会 対面 40名 WEB 7名 合計 47名
(岐阜県参加分科会を示す)
A分科会
来年は山形県開催! 「魅力ある和の空間ガイドブック」part6
報告者:長瀬 八州余
司会者:齊藤 裕美 (北海道建築士会)
「魅力ある和の空間ガイドブック」の山形県には7件の建物の紹介が載っているが、そのうちの4件 清風荘-宝紅庵、料亭 四山楼、上杉伯爵邸、公益財団法人本間美術館 清遠閣・鶴舞園 の紹介がありました。
最初に山形県の説明で、夏は暑く、冬は雪が多く、全県が豪雪地帯だということです。
建物は、高床式で屋根に雪割が付いている。
雪は大変だが、湧水が多く、自然の恵みを受けている
●清風荘-宝紅庵
市民公園 もみじ公園の中にある、市の施設である。
●料亭 四山楼
登録有形文化財で今も料亭として営業している。
近くに2件料亭が有ったが、料亭を維持することは難しい時代となり、今は廃業となった。
●上杉伯爵邸
登録有形文化財
庭を眺めながら、食事ができる。
●公益財団法人本間美術館 清遠閣・鶴舞園
鳥海山を借景とした池泉回遊式庭園
女性委員会の活動として、「魅力ある和の空間ガイドブック」の資料を作成するにあたり、見学会等を行い、山形県だけの紹介をした折りたたみ式のリーフレットを作成した。
A1版、A2版の建物のポスターを作成して、ご希望の所には、置いてもらっている
追加資料として、「山形県9支部おすすめ!建築&グルメ【地域別紹介】」が配布されました。
山形県は4つの地域(庄内地域、最上地域、村山地域、置賜地域)に別れており、
庄内地域:酒田支部、鶴岡支部、
最上地域:新庄支部、
村山地域:西村山支部、村山支部、天童支部、山形支部、
置賜地域:長井支部、米沢支部
9支部がある。
資料に沿って、説明を受けていたが、時間がなく、途中で終了になってしまいました。
山形は広いので、全建女に来て、観光地を回るのであれば、レンタカーを借りるのがよいとの事でした。
米沢支部の活動として、残したい建物・町並みに関与している建物について「景観賞」という事業をしていたが、予算が付かなくなり、建物の維持管理ができなくなってきている。
岩手県の人、北海道札幌支部の人などの意見が出て、全国的に維持管理ができるような資金計画を考えていく事が必要であるとの意見が出ました。
(↑山形市のパンフレットと参考資料と山形のせんべい)
(↑意見交換の様子)
B分科会
「インテリアと暮らしの視点から考える室内防災対策「JOL防災」」
コメンテーター 柏原 民 (大阪府建築士会)
司 会 鈴木 深雪(福島県建築士会)
報告者:伊藤 麻子
インテリアコーディネーターでもある発表者は、ご自身が大阪から千葉県に転居され、周囲の人達が家具に囲まれて寝ている事に大変驚いたとのことです。その危機感から、所属する(一社)日本インテリアコーディネーター協会で自ら「防災とインテリア研究会」を立ち上げ、セミナーや冊子作成などの活動を行なってこられた内容を聞きました。
「防災を優先すると残念なインテリアになる」という課題に対して『JOL防災』(ジョルぼうさい)というコンセプトで安全と美観、暮らし良さを両立させる提案をされています。2019年には小冊子も作成し、セミナーやIFFT(東京国際家具見本市)への出展を行ないました。
・・・JOL:Joy of Living = 暮らしを楽しみ、住まう喜びを追求すること
『JOL防災』の要点
各空間の特性から対策する。家具やモノは減らし、出入口付近は避難の空間を確保するため、レイアウトには配慮すべき。
集:リビングダイニングなど スムーズな動線が避難ルートになる。
眠:寝室 家具ゼロが理想だが、せめて枕元だけでも安全にする。
働:キッチンなど モノが集まる場所なので、危険な場所として対策する。
その他、家具固定対策について具体的な事例を多く紹介、またその課題も出されました。
・設計の際に家具固定のための補強下地など積極的に進めていきたい。
・現在は正しい仕様がないので、最善の基本を確率させたい。
・各分野(建築下地、器具金物、家具家電)同士の連携が必要。
・制度の整備や福祉との連動は必要であるが、室内の家具固定対策についての専門所管はないのが現状。
以上、なかなか個人住宅の室内にまで立ち入る事が大変困難な中、それ故自分たちが声をあげ続けていかなければいけないとのお話でした。私も木造耐震診断や介護保険制度の住宅改修などの場面でも、「もっと立ち入れたら良いのに。」と歯がゆい思いをすることがありますが、やはり多くの方に知って頂く努力は怠ってはいけないと確信しました。
たくさんの事例やインテリア3D画像でとてもわかりやすい発表でしたが、予定時間を超過し、質疑応答などの時間が少なかったのが残念でした。全建女の分科会の意見交換は白熱する事が多くて楽しみなのですが、毎回時間が足りないですね。
(↑会場準備の様子)
(↑会場の様子)
(↑会場から見たリモート参加者)
C分科会
「民家の土塀修復・保存の取り組み」
報告者:髙野 栄子
土塀を修復し再生させる「払川土塀再生プロジェクト」という活動の報告です。
大正3年に作られた土塀を修復し保存する活動を通じて 物だけに限らず地域の成り立ちや事ありかたについて考える活動でした。
コメンテーターの吉井さんは香川県建築士会のヘリテージマネージャーとして活動してみえます。吉井さんの実家の土塀を修復する過程を発表されました。土塀は傾いて崩れ掛けていたので、はじめは壊すつもりではじめたのですが、基礎に近くの河原の石が使ってあり、地域の特徴としての出水(湧き水)を管理し、農業をおこなっていたことなど土塀が残ることの意味など暮らし方を伝承する重要な役割を考え保存再生することに変更したそうです。
地域の方やいろいろな職種の方が参加され、楽しく再生をするワークショップを開催されています。
土塀そのものに歴史的価値があることはもちろんですが、地域とのコミュニケーション、左官技術など伝統技術の継承、登録文化財所有者の啓蒙など、活動そのものに価値があるのだと思いました。
(↑C分科会の様子)
G分科会に参加して
「未来につなぐ環境建築への取り組み~地方の建築技術者ができること~」
報告者 岡田 利里
沖縄形気候風土適応住宅の特性を考える
コメンテーター:松田 まり子氏(沖縄県建築士会)
大分県建築物グリーン化促進事業の取り組みについて
コメンテーター:板場 奈美氏(大分県建築士会)
もうすぐ、2025年4月から、ほぼすべての建物に省エネ基準が適合義務化されます。テーマにある、地方の建築技術者として興味を持ったので、この分科会に参加しました。
最初に、沖縄で設計事務所を営む松田まり子さんが、花ブロックという特徴的な材料が建物の外観を彩るRC造平家建ての住宅について発表されました。
お子さんがカビアレルギーのあるご家族ということで、床下や天井裏といった空気の溜り場を作らないようにし、シンプルな形状でありながら花ブロックから漏れる明かりが優しい感じのする建物でした。
花ブロック=いわゆる穴あきブロックは、外部と内部を緩やかにつなぐ空間を作るのに適していると思いますし、身の回りでも割とよく見かけるものですが、
松田まり子さんは、CFD解析を、行いゾーニング検証をして、風が当たる部分に花ブロックを使い、敷地に吹いてくる風を余すところなく取り入れ、建物の中の空気の流れも考えて間仕切り壁の位置を計画するという、とても丁寧な設計をされていると感じました。
二人目のコメンテーター、大分県の板場奈美さんの発表は、大分県建築士会が大分県から委託されて行ったという、省エネ建築物の普及促進への体制を整備し、建築物の環境品質の向上を目指す事業についてでした。
まず建築関係団体、教育団体等とのネットワークを構築し、県内の省エネ建築物の状況を調査し、技術者向けの研修会や県民向けフォーラムを開催し、啓発チラシや省エネ住宅設計指針を作成する等、とても充実した内容でした。今年度で、3か年に渡る建築物グリーン化促進事業が終了するそうです。
以上、G分科会は、会場40名、オンライン7名と人数も学びも多かった分科会でした。
(G分科会 準備の様子)
(G分科会 沖縄県の発表スクリーン画像)
(G分科会 沖縄県の発表の様子)
(G分科会 啓発チラシ)
(G分科会 大分県の発表の様子)