令和5年度(2023)活動報告
令和5年度 第32回全国女性建築士連絡協議会(石川)その3 分科会報告
日時:令和5年7月29日(土)~30日(日)
会場:金沢市文化ホールとZOOM
石川県金沢市高岡町15-1
参加者:対面293名 リモート65名 合計358名
(岐阜県から 対面5名、リモート1名)
テーマ:「守り・育て・受け継がれる技術、手仕事」~伝統工芸と建築~
7月30日(二日目 午前) 分科会報告
■分科会 参加人数 一覧
A分科会 会場52 オンライン17 計69名
B分科会 会場39 オンライン10 計49名
C分科会 会場50 オンライン 9 計59名
D分科会 会場49 オンライン 7 計56名
E分科会 会場35 オンライン 5 計40名
F分科会 会場30 オンライン 6 計36名
■各分科会の準備の様子
A分科会
B分科会
C分科会
D分科会
E分科会
F分科会
■A分科会 あつまれ~旅好き建築女子!
「魅力ある和の空間ガイドブック」part5
報告者:田口 里恵
今回は群馬県建築士会による明治20年代に建てられた蔵・柏屋四郎右衛門の2棟の蔵を2つを1つの空間にしてレストラン、コンサートホールとして街の顔として活躍している事例と、香川県建築士会による多度津の街並が残る伝統的建物2物件を街歩きと合わせて発表を聞かせて頂きました。
群馬県藤岡市に絹が繁栄した街並みに300年を経て歴史と文化を大切にしたいという気持ちから再生された蔵、力強い梁を生かし老舗の風格の中に洗練されたモダンで落ち着いた空間の蔵・柏屋四郎右衛門は甦りました、昔は家財や商品等を安全に保管するために造られた建物がレストラン・コンサートホールとして甦える事例を聞かせていただき昔の建物の大切さを感じ実際にこの空間を見たいと思いました。世界遺産にも登録された富岡製糸場、高山社跡と一緒に絹の街をぶらっとしたいです。
香川県多度津の金毘羅街道沿いに成立した商家街として本町筋沿いの町並みは現代も商家街として機能が保たれ、二階建て本瓦葺の特徴を持つ伝統的な町並みに大正時代に料亭だった建物を改造し現在古民家ステイにされてみえる香露軒1階の土間付近は改造されましたが、座敷はそのままの状態だそうです。
合田邸は広い敷地内に構造形式や細部様式建築年代が異なる和風・洋風の建築物が混在近代豪商建築で現在補強工事中だそうです。
是非近いうちに香露軒に宿泊し多度津の伝統的な街並みを見ながら食べ歩きを楽しみに行きたいと思います。
(↑ A分科会の様子)
■B分科会に参加して
報告者:下川 滝美
「バリアフリーのまちづくり/みんなで考えるバリアフリー」に参加しました。
今回はいつものテーマである「高齢者の住まい」ではなく「バリアフリー」というテーマでの分科会となっていました。
私自身平成11年から子供たちや当事者の方とバリアフリー調査をしていたので興味深く参加をしました。
県によってはバリアフリーツアーを相談できるセンターがあるということ、それが岐阜にはないということが残念でした。
今までいろんなところで研修を受けて他県にあるということは認識していたのですがその相談内容がとても親切で個々に対応していることに奥深さを感じました。
温泉や温泉宿からのバリアフリー相談を実際の写真を通して説明をお聞きすることができ当事者の方と建築士がタックを組みことで使いやすくなること。
ハードだけでなくソフト面へのアドバイスもあり細やかな配慮がされていました。
転居前に作ったバリアフリーマップを転居先でも作りたくなってしまうような内容でした。
施設の設計、維持などの面で当事者の意見はとても大切だと改めて感じました。
(↑ 会場の様子)
■C分科会 「いばらき木造塾」~伝統技術の継承~の報告
報告者:桂川麻里
C分科会は茨城県建築士会の2名の方がコメンテーターとして、「いばらき木造塾」を立ち上げたお話、初回から最終回まで受講生等して通ったお話をしてくれました。
岐阜県でも2002年(平成14年)から「ぎふ木造塾」を毎年開催しております。が、その内容は全く異なるものでした。
岐阜県の場合はほぼ単発の講習で、たまに講師の先生とゆかりのある建物の見学会を挟んだりと、木造に関する事なら古い建築物から新しい建築物等何でも勉強しましょうというスタンスです。
いばらき木造塾では、四号特例がなくなる前に木造に精通した建築士の育成をしようとはじめたということで、1年間のスケジュールもとてもハードなものでした。が、講師の方もとても協力的で宿題を出したら添削も徹底的に行って頂けるという添削された資料も見てとても驚きました。
他にも継手を自分たちで墨付けから行ったりするというカリキュラムで、運営再度もとても大変なことなのに、5年間も続けられたことにも大変すばらしいとしか言えない内容でした。
また、宿題はCAD不可の手描きだったそうで、だんだん提出者が減っていくのは分かるような気がしました。
一番心に残っている事は講師の先生の「和風住宅って言葉は嫌い。和風の風ってなんですか?」って言葉です。
施主様に説明する時に使用しちゃっていますが、何か他に良い伝え方を模索したいと思いました。
意見交換と質疑応答では活発な意見が出ました。私もぎふ木造塾に役に立たないかと質問したり、ぎふ木造塾の内容も紹介させて頂きました。
もっと皆さんとお話出来たらなと思った分科会でした。
写真の説明
(↑ コメンテーターのお二人)
(↑ 質疑応答の様子)
■D分科会報告
報告者:伊藤 麻子
「住まい・まちづくりを考えよう」~小中学生の住教育出前授業
コメンテーター 竹田 敦子氏(大阪府建築士会)
平成15年に大阪府職員を中心とした出前講座のモデルを実施したことから始まり、その後 平成20年度から自主運営組織となった。
構成団体は建築士会や大阪府、防災センター、住宅センターなど7団体で30名弱が常任委員、その他大学などからのサポーター委員が30数名で活動している。
子ども達に建築に親しむきっかけを与え、楽しさや見方を伝えるのが主旨。
対象は小学3-4年生から中学生までで、学校からの直接申込でやりとりし講座を行なう。
また、学校からの申込は毎年20件以上あり、順次行なっていっている。
内容は20科目程度で常にブラッシュアップし、誰でもわかりやすく誰でも講師を担当できるよう、工夫している。
テキストに「ユメイエ」「住まい・まちづくりを考えよう」の2冊の冊子を作成し、使用している。
これは教師の手引きになるよう見開き1ページを一時限の授業で使える構成になっている。座学は少なく、体験型の内容にしている。
・・・出前講座メニュー・・・
- 快適な住まい
1-1世界の様々な家
気候や文化の違いによる世界の様々な家を紹介。その後、仮想の敷地図と平面図で快適な生活を考える。
1-2熱環境
環境に対しての日々の暮らしをクイズ形式で行なう。その後、サーモグラフカメラで表面温度と気温について学ぶ。
- 建築とバリアフリー
日本におけるバリアフリーの起源から始まり、まちの危険な部分やユニバーサルデザインの工夫などを近隣のまちや大阪駅を画像で見ていきながらクイズで学ぶ。
- まちと防災
災害にはどのようなものがあるのか、近年起こった災害を学び、ハザードマップを見て、家の中の地震対策を考える。ロープワーク体験や備蓄品に触れる。
- ユメのイエ・ユメのマチ
4時限連続授業。理想の住まいをグループで作成し、最後にまちにする。
- 先生に向けた講座
・・・トークセッションでは、愛知県や福井県、岩手県がそれぞれの活動を発表。
・・・分科会を終えて、組織つくりをしっかり行なっていると、知識の共有などできて、運営もスムーズなようでした。
建築士が出来ることはバリアフリーや防災など多岐に渡っていて、住教育に興味はありますが、なかなか大変な事と分かりました。
■F分科会報告
報告者:髙野 栄子
F分科会「灯台が照らしだす未来への道すじ」に参加しました。
F分科会は大分県差が半島の岬に明治時代に建設された鉄作りの「関埼灯台」を地域活性化の核にしたいと大分県文化財課からの委託を(公社)大分県建築士会が受けて、令和3年度よりヘリテージマネージャーを中心に調査報告後、令和4年に「登録有形文化財」に指定された報告でした。
コメンテーターの小関さんはヘリテージマネージャーとしてこの調査に参加され、文化財登録後は記念イベントなどにも取り組まれていました。
文化財の登録は登録して終わりでなく、それをその後いかに活用し、維持、保存していくかが大切だとよくわかりました。
「関埼灯台」は県の文化財課の委託で士会のヘリテージマネージャーが活動するという歴史的建造物の保存、活用の方法としては典型的な事例で、今後の岐阜県でのヘリテージマネージャー活動のとてもよい手本だと思いました。
歴史的建造物とういものは、保存活用を通して、その建物を核としたまちづくりというとても大切なキーポイントになると感じました。
今回の大分の事例は「灯台」という建物で、所有者は海上保安庁という公の機関でした。また「灯台」は街のシンボル的な役割をもつので、なおさら修理、保存、活用の必要があったのだろうと思いました。
その他として小関さんの活動についてお話があり大工の資格をお持ちで、木育活動や女性職人の会などについてのお話をお伺いしました。とてもパワフルに活動して見えて、ただただ感心しました。
(↑ 会場の様子)
(↑ 会場の様子)