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令和4年度(2022)活動報告

HOME令和4年度(2022)活動報告第64回建築士会全国大会 あきた大会 その3 エキスカーション報告

第64回建築士会全国大会 あきた大会 その3 エキスカーション報告

Gコース:石黒会長と記念写真 日の丸醸造にて

日 時:令和4年10月14日(金) 

会 場:あきた芸術劇場ミルハス

     (秋田市千秋明徳町2-52)

テーマ:『建築』で挑戦!郷土のこれから

    ~け、け、けの秋田で まずかだれ~

参加者:3名

エキスカーション 8コース
Aコース 世界文化遺産と十和田湖・秋田犬・歴史的建物を巡る
Bコース 秋田内陸線縦貫鉄道でゆく・紅葉の大自然とマタギの里探訪
Cコース 木都能代と研究拠点を巡る
Dコース 日本海の水平線と世界文化遺産「なまはげ」を巡る
Eコース 匡の有形登録文化財を活用した事例に触れる
Fコース 「みちのくの小京都 角館」~江戸時代の武家町さんぽ~
Gコース 商家のまちなみと内蔵の探訪
Hコース 白井晟一 秋田時代を探る

GコースとHコースに参加



エキスカーション Gコース 報告
 

商家のまちなみと内蔵の探訪

報告者:桂川麻里

 



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(↑見学冊子)

 

現在、岐阜県ヘリテージマネージャーの講習を受けています。その時に伝統的建造物保存地区の秋田県横手市の増田のことを聞きました。その時にお話や写真を見て行ってみたいと思っていたら、Gコースで行けることが分かり申込しました。

事前に調べる時間がなかったのですが、今回上記写真の見学冊子を頂けました。伝建地区となった経緯や見学する建物一件ごとの詳しい内容が「横手市増田伝統的建造物保存対策調査報告書」から抜粋されて載せてありました。岐阜県からは3人参加していて、B班として「旧平石金物店(蔵の家)」、「重要文化財 旧松浦千代松家」、「日の丸醸造株式会社」、「重要文化財 佐藤又六家」、「指定文化財 旧石田理吉家」の順番に見学しました。
 

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(↑商家のまちなみ)

 

前日のセッションの時に秋田県のヘリテージマネージャーの方がみえ(秋田県のヘリテージマネージャーは90名ほどいるそうです)、エキスカーションは増田へ行くと言ったら、以前は通りに面した部分がトタンの家がたくさんあったが、現在はだいぶきれいになっていると聞いていました。また、バスの中で事前に聞いた話ですと、現在は電柱が地中埋設工事が完了していると伺いました。この辺りでは初めて電気が通ったまちなので、電柱を残す残さないの議論がなされたそうですが、埋設されることになったそうです。

到着してからの最初の感想は、岐阜県近辺では見たことのない感じの街並みで、それはほとんどの建物が1階は下屋庇が1間出ていて、2階は切妻造妻入だということが分かりました。

建物の中に入っての感想は、通り土間の位置が少し違いますが、商家の造りだなという感じでしたが、内蔵は別物でした。私の中の蔵というと倉庫のイメージですがそうではなく部屋として使われていて、結婚式等のお祝いをそこで行なったりするという話を聞いていて、更に写真でも見ていましたが「うわっ」という言葉しか出てこない感じの何とも形容しがたい空間でした。柱の間隔もどこの家でもとても大事にしている場所だということがよく分かりました。光を取り入れる為、通り土間は建物の中央ではなく南側に設けてありましたが、雪がたくさん降るとされるこの地域で雪が積もるとどんな感じになるかを見てみたいと思いました。
 

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(↑日の丸醸造本社 内蔵の前で 岐阜県から参加の3名)

 

「旧石田理吉家」は他とは表は塀で囲われ前面には庭があり、そこを抜けると3階建てがドンと見える構成になっていました。花火を見るために3階建てにしたという話もあるそうです。3階は階高が一番高く、なんだか落ち着かない感じでしたが、周りが2階建てなのでここから花火を見たらとてもきれいだという印象を受けました。

今までのエキスカーションと同様に今回も普段は見られない建物の内部まで見せて頂けました。「旧松浦千代松家」は現在店舗等ではなく住宅としているので普段は見れないそうですし、事前に写真撮影はNGということでしたが、ご厚意で写真撮影もさせて頂きました。とても勉強になり、楽しい時間を過ごせました。






エキスカーションGに参加して

報告者:長瀬 八州余

 

午前中の見学を済ませ、「旧勇駒酒造旬菜みそ茶屋くらを」にて、昼食です。県別に席が決まっていて、岐阜県3名は1階ロフトに案内されました。

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(↑食事風景)
 

昼食は美味しかったです。

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(↑お弁当)



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(↑昼食会場の内蔵の様子)
 

午後からは、予定通り「横手市増田まんが美術館」へ行くか、そのまま町並み見学を続けてもよいと言われましたので、桂川さんと私は町歩きを続けました。

今回午前中に見学した他にも、建物を開放している所は数件あり、そこを見学しました。

それぞれの建物は内蔵としては同じなのですが、それぞれが異なっていました。
 


【高橋茶舗】
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【旧村田薬舖】

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内蔵での生活は窓が無いので暗くて、冬は寒いですと話されていました。



【山吉肥料店】

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つい最近蔵祭りがあり、その流れで、座敷にきれいに蔵の中の物が展示されている所が多く見られました。近日中に片付ける予定と話してくださいました。時期的によい時に見学ができたのだと思いました。

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(↑蔵の中の物の展示の様子 3家分)

 

「横手市増田まんが美術館」の駐車場にバスが止まっているので、そこに皆集合で帰路につきます。

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(↑まんが美術館前にて)


JR大曲駅、秋田空港と寄り、JR秋田駅で解散です。

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(
↑JR秋田駅)

 

秋田県建築士会の皆様ありがとうございました。



 

エキスカーションH「白井晟一 秋田時代を探る」

                             報告者:伊藤 麻子

孤高の建築家とも呼ばれる白井晟一の初期の作品は秋田県湯沢市に多く、今回良い機会を得て初めて訪れることができました。ご案内頂いた建築士会の方は、県に委託されて白井建築の調査を行いその後、保存のため尽力されていると移動の車中でお話しくださいました。またバスガイドさんからは、湯沢市は降雪が10mにもなる豪雪地帯だと説明がありました。ちなみに、車内では今回の大会での拠点になった「ミルハス」の呼び名の説明もありました。一般公募の結果だそうで、語源は久保田城址のある千秋(せんしゅう)公園に隣接しており、お堀は睡蓮で埋め尽くされていて、また「千」をフランス語で「ミル」であるので「千の蓮」イコール「ミルハス」ということでした。

初めは「四同舎(しどうしゃ)旧湯沢酒造会館」、白井様式といえる特徴的な窓の装飾とモノトーン+木調玄関ドアのコントラストが美しい、小ぶりですが威厳のあるたたずまいでした。内部玄関ホールは曲線階段と窓からの光線で清らかな空間が表現されています。

続いて訪れたのは「試作住宅」(現在移築され個人所有)を外観のみ見学しました。これも平屋の小さな住宅ですが、緩い勾配屋根と庇のバランスが絶妙な美しい建物でした。

その後、高久酒造茶室、稲住温泉離れ客室、同じ旅館敷地内の浮雲と旧秋の宮村役場(外観のみ)を見学しました。内部は和室が多かったのですが、正式な茶室とは違い、畳に直接床柱立っていたり、付け鴨居に落とし掛けが差さっていたりと、実際に見るとその独創性に改めてショックを受けました。

のちの渋谷区松濤美術館や親和銀行本店のような大きな作品はないものの、丁寧に造られ、当時の人に大切にされ、その後もひっそりと時を重ねて守られていることを見せていただきました。


(↑四同舎 正面窓)



(↑四同舎 玄関ホール)



(↑稲住温泉 離れ客室)




(↑湯沢市 白井晟一パンフレット)