令和4年度(2022)活動報告ブロック会 後期 ぎふ下呂大会
東海北陸ブロック会 後期 ぎふ下呂大会 2日目
建築士会 東海北陸ブロック会 女性建築士協議会
令和4年度後期ブロックぎふ下呂大会
二日目 令和5年2月26日(日)
ブロック事業発表(対面のみ)
水明館 緑風の間
参加者 ブロック事業発表 35名
【ブロック事業発表】1部の報告
報告者:岡田 利里
1部は、下川さんによる、『福祉まちづくり建築士』の事業報告でした。
岐阜県建築士会の中にある『まちづくり委員会』の中に『福祉まちづくり部会』があり、女性委員も多く活動しており、エリアリーダーを女性委員が担当しています。
活動内容は、地域包括支援センターをはじめ居宅介護支援センター、市町村等の相談に対応したり、「もとす広域連合」、「揖斐広域連合」と連携し、介護保険制度における住宅改修が適切に行われるように、助言、職員の育成などを行っています。
介護保険給付の申請図面では、建築士が作成した図面でない場合、手すりが連続していない、局部的な改修しかされていない、寸法の記入がない等の、上手くいっていない場合もあるため、それらを指摘し、適正な住宅改修を行えるようにすることも福祉まちづくり建築士の仕事です。
これらの取組みの中で、今回のワークショップで行う『25年後の磯野家』が生まれたということです。
参加者35名、前日の懇親会と同じ緑風の間で、グループもほぼ同じでしたので、和やかな雰囲気でスムーズに進みました。
ブロック事業 第2部
「25年後の磯野家 改修プロジェクト」ワークショップについて
報告者:井之口洋子
あのテレビでおなじみのサザエさん一家を基に改修するならどうする?というテーマで5~6人のグループに分かれてのワークショップでした。
グループ内でサザエさん、フネさん、カツオくん、マスオさん、という役になりきってもらい、岐阜県はファシリテーターと書記を務めました。
先ずはファシリテーターの誘導でそれぞれに不安、要望や意見を出してもらいます。
皆さんに出してもらった後は、どのような改修案にしていくかの議論に移りました。
私が参加した杉グループでは今まで自宅にお金をかけていなかったであろうという想定で波平さんの遺産も合わせてある程度は予算があるのではないかと予想しました。
そうなると、和室がある部分など平屋とはいえ耐震補強したいとの意見が出ました。
補助金が出るのではないだろうかということもあり、耐震・断熱改修も合わせた住みやすい家にしようという意見で一致しました。
間取りは大きく変更するのではなく、今の部屋を基本として和室から洋室へ変更。WCを1つ増築。耐力壁も入れて、屋根も瓦葺からガルバリウム鋼板などの軽い屋根へと葺き替え。
ただし、フネさんとサザエさんが立つ台所の位置を変更して対面型キッチンの設置とちゃんとタラちゃんの帰省に備えることにしました。
せっかくの縁側はそのまま生かし、将来的にこちらからフネさんは外出できるようにすることにしました。そのために道路面のブロック塀を撤去して駐車スペースを作るとにしました。
水廻りのWC、お風呂、洗面はもちろんバリアフリーになるよう改修します。
(↑ 杉グループの発表の様子)
グループごとのワークショップが終わった後は発表です。
他のグループではどんな意見が出たのか楽しみでした。
楢グループでは予算がシビアではないだろうかと予想されて、水廻りの改修では手摺を設置することや部屋の段差を解消するために畳からフローリングへの改修を提案されました。
松グループでは予算1000万円と具体的に決めて、浴室、WCを改修することはもちろんですが手すりなどの位置を細かく決めていました。駐車スペースを確保。カツオくんが車購入予定でした。
そして、印象的だったのが将来はサザエさんとマスオさんの部屋をフネさんの部屋と交換して押入をフネさん専用のトイレ改修をするという事でした。
(↑ 松グループの発表の様子)
栃グループではまだまだ元気に過ごしていきたいというフネさんの希望を叶えようということでした。板敷になっている部分を畳に合わせて+30㎜の床改修。2つ目のWCを物入を改修して設置。こちらも送迎用の駐車スペースを作ることになっていました。
椹グループでは現状フネさんの状態はまだ頑張れるという事で工事を2回に分けて行う計画です。
1期工事はお風呂、洗面、WC、広縁のサッシ取替、駐車場スペースを2台分確保。2期工事ではWCの増設、サザエさんとマスオさんの生活の快適化を優先し、家の耐久性を上げていく内容。
印象的だったのが、2回に工事を分けるので費用もそれなりにかかるだろうという事で、カツオくんが正社員になるよう職探しを始めるとのことでした。
グループの発表は簡単な紹介になってしまいましたが、それぞれに共通している部分もありましたが、そこへ至るまでの経緯が結構違う部分もあり新鮮でした。
最後に今回のワークショップを高野さんが総評してくださいました。全員が建築士という事もあって、全体的に大胆な改修案だったそうです。福祉関係の方が多い場合との違いを話されました。
(↑ 高野さんの総評の様子)
色々な意見が聞けたことは大変勉強になりました。今回は磯野家という誰もが知っている家庭で、人物像も容易に思い浮かべることができたことが、活発な議論につながったのではないかと思います。
普段は福祉にかかわる仕事はしていませんが、住む人の要望や予算などハード面とソフト面を聞き取りすることの大切さにも気づかされました。