令和3年度(2021)活動報告
令和3年度 第30回全国女性建築士連絡協議会(福岡)その2 分科会報告
日時:令和3年9月25日(土)
会場:ZOOMウェビナー 使用
アクロス福岡 6階 会議室
(福岡市中央区天神一丁目1番1号)
参加者:438名参加申し込み(岐阜県から6名)
テーマ:「未来へつなぐ住居環境づくり」
◆分科会 リスト◆
・1-1分科会「心地よい和の空間」
・1-2分科会「会員拡大へ向けた取組み/ 楽しむことを忘れない軽やかな女性たち」
岐阜県建築士会 女性委員会 発表
・2-1分科会「倖せもついてくる高性能なエコハウス」
・2-2分科会「子どもとまち・建築」
・3-1分科会「被災した古民家を生かしたまちづくり」
・3-2分科会「高齢社会とまちづくり/私のまち 起承転...」
・4-1分科会「森林で自立する村づくりと熊本復興支援」
・4-2分科会「空き家 見えるカルテ」
例年だと一分科会は2時間で一つの分科会でおこなわれていましたが、今回は1時間ずつ二つの分科会で一つの括りで開催されました。
できるだけ似たような内容の括りになっています。
1-1分科会
「心地よい和の空間」
報告者:髙野 栄子
全建女で取り組む「魅力ある和の空間ガイドブック」の公開から3年たち、和の空間についての佐賀県と大阪府の活動報告でした。
佐賀県では、有田町での町並み保存の活動について発表でした。有田町は「有田焼」で有名な焼き物の町です。その焼き物を扱う商家等が建つ町並みが伝統的建造物保存地区になっているそうです。特徴的な意匠を持つ伝統的建物を保存、修復する活動をされていました。
大阪ではガイドブックを活用し、掲載されている建物の見学会を開催されていました。観光ガイドのように各地に出かける際、和の空間ガイドブックにある建物を見学することも楽しそうでした。私もぜひ旅行に行く前にガイドブックを眺めて見ようかと思いました。
(1-1分科会)
1-2分科会
「会員拡大に向けた取り組み/楽しむことを忘れない軽やかな女性たち」のコメンテーターになって
報告者:長瀬 八州余
令和2年度の全建女での分科会発表の準備をしていましたが、コロナ禍の為中止になり、新たに令和3年度分科会への打診が、岐阜県建築士会女性委員会に来ました。準備をしていた資料がありますので、それを少し手直しすれば、発表はできるということで、お受けすることになりました。
リモート参加で、当日の発表は録画でということで、例年と異なりましたが、どうにか録画データーを納める事ができました。録画なので、何度でもやり直しができたことは良かったことです。
各数回、連合会主催でZOOMウェビナーの操作方法の勉強会がおこなわれ、福岡県主催では接続確認や分科会の進め方の練習会がおこなわれました。それとは別に1-2分科会担当の齋藤さん、新海さんとのZOOM会議や他の方を誘ってのデモ発表練習会など、今までの対面であればおこなわないような会議をおこないました。でもリモートなので夜7時からとか8時からの会議なので、仕事の調整をすることもなく、進めることができた事は良かったと思います。
当日は8時35分にパソコンの前に待機して、ラインからの指示があったら、入室します。その後練習セッションを9時半までおこない、30分休憩となり、開始時間の10時となって録画が流れ、動画終了後、司会者の齋藤さんから京都の冨山さんと長瀬の紹介があり、ライブが始まりました。
質疑応答の時間の時は対面だと会場の雰囲気でなんとなく進めることができますが、リモートで相手の顔を見ることができませんので、質問が無く、時間が余ったらどうしよねと心配しておりましたが、Q&Aに沢山の方が質問をしてくださり、ありがとうございました。
岐阜県の活動内容が他県の参考になればうれしいのですが、どうだったのでしょうか。
第1分科会の参加者はスタッフも含めて変動はありますが、85名程の参加がありました。多くの方が参加してくださりありがとうございました。
(1-2分科会 最後の挨拶でアシスタントの新海も参加して)
(福岡会場 第1分科会会場の様子 この会場は式典等もおこなう会場です)
(長瀬の机の様子 パソコンにはリモートの映像、スマホは1-2分科会のライングループの画面 ここから指示が来る、ノートパソコンは質疑の返答で岐阜県建築士会女性委員会のホームページより資料を探せるようにスタンバイ)
(後日 コメンテーターをしたお礼として木の栞が福岡県建築士会から送られて来ました。良い記念になりました。ありがとうございました。
2-1分科会
『倖せもついてくる高性能なエコハウス』
報告者 岡田 利里
最近、ZEBやZEHという言葉をよく耳にするようになり、まだ実際の業務では関わってはいませんが、そのうちにと思っていたので、分科会のプログラムを見たときに、興味をもちました。コメンテーターの江藤眞理子さんは、パッシブデザインやバウビオロギー(ドイツ発祥の建築生物学)を学んで実践され、快適空間を得ながら、CO2排出量の削減や光熱費削減の効果を出す住宅の設計をされています。
最初にお話しされた、深刻化する地球環境問題に対して、建物の設計という仕事は、そこに力を注げる立場であり、未来へ貢献できる立場であるとの言葉に感銘を受けました。
事例紹介された住宅は、漆喰や焼杉の外壁、木製サッシやガラリ雨戸、勾配天井のリビングなど、写真からも快適そうな住宅だと思いましたが、『家にいるのが一番心地よくて外に出たくないほど。インテリアや家具にこだわるよりも、空気にこだわることの方が贅沢と言えるかもしれない』という住まい手の言葉が印象的でした。
外皮性能が同じでも、地域や敷地により気象条件や日照条件は変わり、集熱開口面積や日射遮蔽方法により室温や快適性が変わり、冷暖房負荷や消費エネルギーに違いが生じるため、外皮性能は一つの目安に過ぎない。『省エネルギー基準』より高い外皮性能の『ZEH基準』、それより高い外皮性能の『HEAT20』のG2程度の基準が必要とのことでした。
ZEHの条件を満たすことだけではない、深い知識を持って実践されていることが良く分かりましたし、日本でも今後、欧米のようにそういった基準が義務化されてくるでしょうから、理解を深め、これからの設計で意識していきたいと思いました。
(2-1分科会の様子)
2-2分科会
『子どもとまち・建築 ~誰でも昔は子どもだった~』
報告者 岡田 利里
神奈川県による、発足から27年間の活動の紹介とコロナ禍での取り組みについての発表でした。
子どもたちが住まいや町に関心を向けるきっかけ作りということで、学校での授業内容を考えたり、先生向けに模型製作講座、学童でのワークショップとして土壁塗りや、土間たたきの体験会などをされてきました。
コロナ禍での取り組みとしては、2つ紹介がありました。夏休みのワークショップで、パスタをウインナーで繋いで強度を競うパスタブリッジを、オンライン併用で行ったこと、先生はオンラインで、子供たちは集まって、タブレットとスマホを駆使したワークショップだったようです。茅葺屋根の見学会は、現場で生の声を聞いて五感で感じられるようにとのことから、オンラインではなかったのですが、できるだけ滞在時間を短く、密にならないようにするなど工夫をしたそうです。
以前体験した子供が大学生になってボランティアスタッフとして関わっているということが印象的でした。
(2-2分科会の様子)
(福岡会場 第2分科会 会場の様子)
3-1分科会
『熊本地震で被災した古民家を活かしたまちづくり』
報告者:桂川麻里
この分科会のテーマを聞いて熊本地震の後の全建女か、全国大会かは忘れてしましましたが、文化財等に指定されていないが、後世に残したい古民家が否応なしに壊されないように活動をし始めていると聞いて、その時私の地域の古くて良い建物も子の代になるとメンテナンスが出来ず壊されるだろうという話があり、ここで災害が起きればそれこそ否応なしに壊されるんだろうと思っていたのを思い出しました。今回そういう建物がどのように利活用それがどうなったかということも知りたくこの分科会に参加しました。
コメンテーターの松野さんは益城町の文化財保護委員を委嘱され、残したい建物に出会い講習を受けヘリテージマネージャーになったそうです。その後県からの依頼により熊本県建築士会で近代和風建築物の保存状況の把握の基礎資料を作っていたそうです。それがちょうど地震発生の約1年前でした。この調査を行い資料作成したことが今回大いに役に立っているようでした。
この分科会に参加して初めて知った言葉がありました。「文化財レスキュー」と「文化財ドクター」です。しかしこれらが対応するのは災害が起こった時点で文化財になっているものです。今回はこれに当てはまらないからと諦めてしまうのではなく「建物修復ネットワーク」の方等の御協力の元具体的に取り組んできたことはすごいことだと思いました。
しかし、今回一番すごいと思ったことは補助金をが出たから建物を修復し、後は所有者へお任せだけではなく、その後のどう残していくか、後継者である方々にも会合やイベントに参加してもらうことで、愛着を持ってもらう取組をしてきたことです。
松野さんのお話の後、(株)ましきぐらくしの代表の方のと被災された方のメッセージ動画を見せて頂きました。
(株)ましきぐらしでは2件の古民家を借りて来年度の開業を目指しているそうです。熊本に行った際には寄って来たいなと思いました。
益城町赤井地区の古民家の所有者の城本様方のメッセージでは、3年経ってようやく改修が終わったそうです。被災直後の写真も見せて頂きましたが150年以上続いたものが自分の代でなくならなかったことにとても安堵されたお顔が印象的でした。復興に際して地元の歴史を知り「地震のおかげで赤井の素晴らしさを認識した」と言われ、「地震のせいで」ではなく「おかげ」と言えるのも松野さん達の取組があったからだと思いました。
最後に司会、アシスタント、松野さんの3人で追加報告と意見交換を行ってくれました。
古民家では城本家ではだいぶ被害がありましたが、河端家は戸川岩盤の上で比較的被害が少なかったことや、漆喰壁を鉄板で覆っていたのを被災を機に当初の漆喰壁に戻したりと良い方向への修復をしていてとても参考になりました。
また、社寺仏閣では木山神宮は屋根だけになってしまい建物がない状態でしたが、史跡として文化の指定をし修復を行なった話や、皆乗寺では構造材だけではなく海老虹梁や下からはほとんど見えない象鼻も修復出来たのはとても良いことだと思いました。
今回の活動で松野様はボランティアではなくヘリテージマネージャーとして業務として作業し、建築士会から業務料をもらったそうです。詳しいことは「熊本県教育委員会文化課へ」とのことでした。士会で契約か個人で契約かどの県でも問題になっていると思います。こういう情報にもアンテナを張り巡らしたいと思いました。
最後に松野さんからのメッセージで、「私たちの出来ることは限られれているが、被災された方に寄り添っていく」とても心に沁みました。
(3-1分科会)
3-2分科会
■テーマ「高齢社会とまちづくり/私のまち起承転・・・」
報告者:下川滝美
今回の全建女はコロナ禍であることからzoomで、司会進行、コメンテーター、アシスタントの方がそれぞれのところからの配信でした。
コメンテーターの松橋さんとは20年以上前から東京に本部がある高住会の知り合いで、旧鷹巣町の「住民参加の福祉のまちづくり」については介護保険が始まる前から取り組んでおられテレビでも何度も放映されていたりして知ってはいたのですが松橋さんのお話が聞けるということで楽しみにしていました。
新首長が福祉に理解があったことからはじまった住民参加のまちづくりは当事者の問題を知ることからはじめたということ。その中からいくつかのワーキンググループができてそれが今の福祉サービスとつながっていることなどあらためてその活動が素晴らしい取組だったと思いました。
高齢社会は特別なことではないということ。世界での障害者の割合は15%、高齢者は30%。
ハンディキャップをもった人が当たり前に暮らせる社会。年寄りが元気に過ごせる町をつくっていきたい。そのためにこれからは若い人のサポーターとしても活動したいという松橋さんの話を聞いてとても熱い思いが伝わりました。
福岡大会で開催されていたら行く事ができなかった今回の全建女ですがスタッフの方のご尽力でまるでライブでそこに参加しているような気分で話しが聞けました。とても良い大会でした。
(3-2分科会)
(福岡会場 第3分科会 会場の様子)
(福岡会場 第4分科会 会場の様子 今回岐阜県からの参加はありませんでした)