2024年度
2024年度 ぎふ木造塾 第1回見学会
郡上・美濃 木造建築設計研修ツアー
開催日時:2024年11月16日(土)8:15~18:30
開催場所:美濃建築製品センター(株)、(株)三樹林業⇒郡上市総合スポーツセンター⇒流響の里⇒郡上八幡城下町 (株)スタジオ伝伝⇒美濃市うだつの上がる町並み (一社)インク⇒美濃和紙あかりアート展
参加者 :35名(うち学生8名)
チェーンソーでの丸太伐りの様子
令和6年度ぎふ木造塾の木造建築設計研修は、昨年までの研修ツアーアンケートで学生さんから要望が多かった、「空き家活用」や「改修」について学べるプログラムを軸として計画しました。それに加えて木材の川上を理解するために林業と製材の学習も取り入れ、さらに丸太を活用した中大規模構造建築の見学も含む研修ツアーとしていきました。なお、今回の研修ツアーは岐阜県木材協同組合連合会委託事業の一環でもあります。
天候を気にしながら岐阜駅を出発。バスの中では、本日の注意事項を説明し、ぎふ木造塾部会員が自己紹介をおこないました。その後、最初の研修先の美濃建築製品センター(株)さんと(株)三樹林業さんの概要を紹介しました。また、事前に記入して頂いた学生参加者からの「建築士への質問」に対し回答する時間を取り、なかなか鋭い質問には回答に苦慮する場面も見られました。
郡上市白鳥町にある美濃建築製品センター(株)さんに到着しました。ここではまず(株)三樹林業さんより元口・末口、1番玉・2番玉など用語の解説と山の現状について説明を受けた後、実際に丸太をチェーンソーで伐る実演をしていただきました。チェーンソーの爆音、木を伐る匂い、飛び散る木くずなど普段あまり目にしない光景を見て、体で感じることができたのではないかと思います。時間の関係で実際の伐倒見学とできなかったことが心残りです。
その後、そのまま美濃建築製品センター(株)さんでの製材見学です。岐阜県の製材所の数は全国一位で、とりわけ中小規模の製材所が多いのですが美濃建築製品センター(株)さんはその中の一つとなります。実際に丸太が製材され、角材や板材になっていく様子を見学し、こちらの製材所で特徴的な除湿式遠赤外線乾燥も見せていただきました。稼働中の木材乾燥器の中に手を入れて温度を体験できる機会はほぼ無いため貴重な体験になりました。
丸太が製材される様子を見学 除湿式遠赤外線乾燥機の説明
次に南下しバスの中で郡上市総合スポーツセンターさんと(株)スタジオ伝伝さんおよび郡上踊りの紹介をした後、郡上市総合スポーツセンターさんの見学です。ヒノキの丸太と唐松集成材にスチールの複合トラス+CFT(コンクリート充填鋼管)造でできた中大規模建物で、屋根がヒノキ丸太・唐松集成材にスチールの複合トラスとなっています。ダイナミックな架構に驚くとともに、竣工が2001年3月ということで参加者の学生は「全員まだ生まれていない」ということにも驚き、さらに参加者の中には「50歳の時にこの工事現場を見学に来た」という方もいらしたのにも驚きました。また、今回ご対応いただきました森様のご厚意により通常は一般には公開されていないプールエリアを特別に見学させていただきました。
ヒノキ丸太と唐松集成材にスチールの複合トラス プールエリアを上から見学
流響の里で昼食を取った後、郡上八幡 町屋敷越前屋で、(株)スタジオ伝伝さんより本日の予定をご説明頂いた後、チームまちやさんへ移動しチームまちやさんの行なう空き家対策に関する話を聞きました。そして南町で今後改修計画に取り組む建物の中で(株)スタジオ伝伝さんの代表:藤沢様、設計監理:松本様より町並みの再生や空き家対策の講義を受けました。その後、郡上城下町を歩きながら既に運用されている物件の一部(木の離/Art&Hotel Kinori、スタジオ伝伝事務所、平野トイレ)をまち歩きと共に郡上城下町の南町から北町まで見学し、今まさに改修工事中の現場も北町で見学しました。20分程度の間に、改修前~改修工事中~改修後という状況を一度に見ることができました。
流響の里での昼食 町屋敷越前屋での説明
チームまちやでの説明 町並みの再生や空き家対策の講義
木の離/Art&Hotel Kinori ダイニング 木の離/Art&Hotel Kinori キッチン
その後、さらに南下しバスの中で(一社)インクさんの紹介をした後、美濃市WASITA MINOで(一社)インクさんの代表:中島様からインクが行っている、うだつの上がる町並みでの再生リノベ活動などの講義を受けた後、うだつの上がる町並みを移動しNIPPONIA美濃商家町を見学しました。見学後は自由行動となり、美濃和紙あかりアート展を散策し、その後バスへと戻り岐阜駅へ帰着しました。
WASITA MINOでの説明 WASITA MINOでの講義
WASITA MINOでの講義 NIPPONIA美濃商家町見学
岐阜県には重要伝統的建造物保存地区が6か所あり、そのうち2か所(郡上市郡上八幡北町と美濃市美濃町)を巡った研修ツアーとなりました。時間配分的にかなり厳しいツアーであったため、研修先の施設の方や講師の方々にもご不便や不完全燃焼だったかもしれません。また、十分な時間が取れなかったことが参加者の皆様方に対しても大変心苦しく感じています。
ただ、怪我や事故等無く天候も何とか持ちこたえられたことおよび、参加いただきました皆様には感謝いたします。ありがとうございました。
次回、ぎふ木造塾では、2025年1月25日(土)に滋賀県ツアーを行います。既に募集も開始しておりますのでリピーター様も御新規様も是非ご参加をお願いいたします。
ぎふ木造塾部会員一同