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2016年度

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2016年 ぎふ木造塾 第5回講義(大島先生) 報告

奥矢作移住定住促進協議会 会長 大島光利氏

開催日時:2016年12月11日(日)15:15~16:45
開催場所:ふれあい福寿会館 301号室
受講者数:19人
講  師:奥矢作移住定住促進協議会 会長 大島光利氏
講義内容:『古民家リフォーム塾』移住定住者と地域住民との協同
     ~みんでやろまいか!空き家ゼロ~

第5回目の講義は『古民家リフォーム塾』移住定住者と地域住民との協同     ~みんでやろまいか!空き家ゼロ~というテーマで大島光利氏にご講義頂きました。
 過疎化が進んだ奥矢作にある串原地域に、移住希望者を対象としたリフォーム塾などを実施され、地域を復活させたお話でした。
 串原地域は岐阜県恵那市と愛知県豊田市との県境にある地域で人口824人高齢化率44.9%になるそうです。このままでは地域が高齢化して衰退していくと考えられた大島氏は『NPO移住定住促進協議会』を設立され、空き家を村の資源ととらえ、空き家調査をされました。空き家を自らの手でリフォームする技術を地元の大工、設計者と共に教える案内を全国の移住希望者に発信した所、遠くは湘南や五島列島からの参加者があり、結果66人(24世帯)の移住者に繋がる結果となりました。
 全国で問題化されている空き家、地域の高齢化を資源ととらえ仲間とのネットワークを活かし活動に変えていくバイタリティーは見習うべきことだと思いました。私たち建築士も建築という領域だけに囚われず、地域活動に参加し建築士として仕事の領域を広げていく活動が必要であると思いました。
 
【受講者の声】
・古民家の空き家を活用して、地域活性化するのは建築士としての新たな事業分野になるのではないか。(まちづくり)
壊すのか、直すのか、現状で使えるのか。プロの判断も必要だ。

・「設計事務所」の今後の在り方を考えるために参考になりました。
「奥矢作移住安住促進協議会の活動」大変な意気込みで進められていて素晴らしい。
【最終講義を終えて】
今回の講義が本年度木造塾の最終講義となりました。受講参加していただいた塾生の皆さん、講師の先生の選定から運営に関しご尽力をいただいた木造塾運営委員の皆さんありがとうございました。来年度も魅力ある講義を開催していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

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2016年 ぎふ木造塾 第5回講義 報告

第五回講義 写真-3.jpg

開催日時 2016年12月11日(日)
開催場所 ふれあい福寿会館 301号室
受講者  19名
講師   有限会社 アーキ・キューブ 代表 大石佳知氏
講義内容 「設計事務所の新築・リフォーム設計術」
       ~地域材・BIM・インスペクション~
  第5回講義の前半は、「設計事務所の新築・リフォーム設計術」という演題で、有限会社アー
キ・キューブ代表、大石佳知さんにお話しをして頂きました。国産の木材を使うことに拘って仕事をされていて、保育園の設計監理をされた時は、森に保育園児を連れて行き、実際に使用する木を切り倒す様子を見てもらったり、製材所での製材作業を見てもらったそうです。 

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保育園の設計には、支点桁工法を採用し、製材を使用した、柱の無い大空間を実現し、木材の良さを生かした建物になっています。また、この時は、使用木材ごとのウッドマイルズを算出し、環境負荷についても配慮されています。
 
第5回講義 資料8.jpg 

最近は、新築より、リフォームの仕事が多くなってきていて、建物調査の時は、建築系の学生や専門業者と協力しながら、調査しているそうです。その調査報告を踏まえてリフォーム計画を提案し、仕事に結びつけているということでした。また、現地調査には、3Dスキャナーを活用し、効率よく、正確なデータを収集し、それを元にしてBIMによる設計、提案資料の作成に取り組んでいる、という話しをされました。身近にいる人の、国産材を使うことの思い、新しい技術を取り入れながら、これからの取り組みを聞いて、とても刺激を受ける講義内容でした。         (松岡 孝宏)
第5回講義 資料-5.jpg 

【受講生の意見】
・BIMや3Dスキャナーなど新しいシステムをいち早く導入し大いに活用されていて大変ためになった。また、設計事務所の在り方について考えられ、生産者から消費者に深く関わりながら建物をつくる姿勢に感動しました。
・BIMや3Dスキャナーなど新しいシステムをいち早く導入手書きから2Dへ、2Dから3Dへ、3DからBIMへの変化。どうしたら良いのかと思ってしまう。
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2016年 ぎふ木造塾 第4回講義 報告

愛知産業大学造形学部建築学科/宇野総合計画事務所 宇野勇治氏

開催日時:2016年11月26日(土)13:30~16:30
開催場所:ふれあい福寿会館 301号室
受講者数:21人
講  師:愛知産業大学造形学部建築学科/宇野総合計画事務所 宇野勇治氏
講義内容:地域のポテンシャル活かした住宅のデザイン
‐気候・素材・文化などから考える‐
第4回目の講義は『地域のポテンシャル活かした住宅のデザイン』‐気候・素材・文化などから考える‐というテーマで宇野勇治先生に講義していただきました。
 講義はパワーポイントでまとめられたスライドを使って前半は伝統民家の室内気候の説明から・自邸の紹介・土壁の温熱環境にかかわる実測や実験結果などの講義で、後半は左官の歴史・気候風土対応住宅の認定への可能性についてでした。
 外壁に断熱材を取入れた土壁住宅と土壁のみの住宅との室内気温の変動についての実験データが大変興味深いものでした。
今後の住宅の在り方として、土壁の蓄熱力・調湿力、開口部の通風性による伝統的な建築+新しい技術をかけ合せることにより色々な可能性を感じました。
 
【受講者の声】
・土壁と乾式の外壁で夏期のの室内温度にどのような変化があるのか実測値のグラフにより、伝統工法のみならず+αで断熱も必要であることが分かった。
・土壁の蓄熱の効果の話は興味深かった。

・目的(願望)と裏づける研究が同時に行われ、とても幅広い講義内容でした。
伝統木造の発展型が確立されていく可能性を感じます。
 

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2016年 ぎふ木造塾 高山研修会 報告

研修日 2016年 11月13日 (日曜日)AM8時30 岐阜駅出発 PM7時30分 到着

研修場所 1. オークヴィレッジ高山ショールーム内研修

     2. オーベルジュ飛騨の森 (昼食会)

     3. 飛騨の里研修

     4. 高山市内古民家改修工事現場見学

研修人数 19名 (内4名 高山から御参加)

 

     午後8時30分 予定通り岐阜駅を出発し、お天気にも恵まれまして、

     バスは東海北陸道の紅葉の中を進み、一路高山市へと向かい、

     高山からの参加者の待つ原山公園で合流、参加者全員(19名)を乗せ、

     第1番目の研修場所のオークヴィレッジにほぼ予定時刻に到着する事ができました。

 

     1. ショールーム内での代表取締役社長 上野氏による講義がはじまりました。

     職人の技術の継承を唱え・育成にご尽力されておらる経営者であり、

     職人による木工細工から家具の製作(漆塗装含)並びに建物の建築に至るまで、

     巾広く手掛けておられました。特に感慨深かかったお話は、

     プレカット等の機械で出来ない製品は、人の手で作る事に価値があり、

     機械が出来ないから人の手でつくる事を大切にする。

     その、技術者(職人)の育成をしていくといった経営理念をお話されて、

     とても感動いたしました。

     ショールームにある家具製品は、伝統建築でよく使われる技法の

     継手・ホゾの細工がなされ、出来上がった家具等の製品は、

     東京のデパート等へも出品されているそうです。

 

     2. オーベルジュ飛騨の森(昼食会)におきましては、

     東京表参道ヒルズで腕をふるっておられた、

     オーナーシェフによるイタリア料理が次々に

     テーブルへと運ばれ、紅葉の広がる景色の中、舌鼓をうちながら、

     各テーブルでは様々な会話が飛び交い多いに盛り上がりました。

 

     3. 飛騨の里では、昼食会での時間が、1時間オーバーしたために、

     研修予定時間を半分に短縮せざる負えない事態となり、

     皆様には勿論、ガイド関係者の方々にご迷惑をおかけ致しました。

     そんなハプニングの中で、ご説明がはじまりましたが、合掌造りの建物や、

     重要文化財の庄屋の家の紹介を、その時代の暮らしを事細かく丁寧に説明され、

     わかりやすい内容でとても勉強になりました。

 

     4. 古民家改修工事現場視察では、施主と直接お話をする事ができまして、

     この建物を改修する経緯や考え方に触れる事も出来ました。

     古民家ならではの独特な柱・梁等の軸組材の素材感と、

     この建物が崖地に建っており、眼下に、深い渓谷を流れる川を望み、

     とても綺麗な場所でした。

     この建て物に携わっておられる高山支部の大工さんと

     施主の信頼関係を垣間見る事が出来まして、感銘いたしました。

 

     無事に1〜4の研修を終えて午後7時30分に岐阜駅へと

     無事に帰って参りましたが、情報や、技術を共有する高山支部の連帯感と、

     それに行政の側も巻き込んでの街づくりがなされている事に、正直驚きました。

     こんにち、高山への外国人観光客が増加している背景には、

     伝統的木造住宅の改修・保存が一役かっている事はいうまでもありません。

     何よりもご参加された方々や、各関係者様と

     様々な意見を交わせる事が出来まして、

     とても有意義な時間を共有できたのではないでしょうか。

      

  

     

         

     

 

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2016年 ぎふ木造塾 第3回講義 報告

講義風景

 

開催日時:2016年10月15日(土)13:30~16:30

開催場所:ふれあい福寿会館 301号室

受講者数:20名

講  師:立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員 棚橋秀光先生

講義内容:「伝統木造の仕口の耐震のしくみ」

 

 当日はJR東海の事故のため、名古屋から名鉄に乗り換え、新岐阜に到着というハプニングもありましたが、問題なく講義が始まりました。

 先生の研究は、1998年京都府立大学の教授に就任されてから始められ、2006年に京都大学防災研究所鈴木祥之研究室に研究員として移られてから、「パステルナーク・モデル」と「めり込み」についての研究が始められ16(?)年目の現在に至っていますとの前置きがありました。

 その背景には日建設計時代に行った関西空港、神戸のポートタワーでの地盤の不当沈下対策の研究があったとのお話でした。

 講義はパワーポイントでまとめられたスライドを使って、前半の仕口における「対角線効果」による「めり込み」の耐震のしくみの説明、後半の実験例、飛騨高山で得られた仕口を使っての実験概要、4種類の楔の復元力特性の説明をしていただきました。

 前半の理論的お話は、理解できたような気もしましたが、有限要素法FEMとの違いはよくわかりませんでした。
 年輪方向による違いは、木の特性として、なんとなく使っていてわかる感じはしました。

 【受講者の感想】  
 全般的に専門的レベルの話で難しかった。タイトルの「耐震のしくみ」につなげて、一般建築の総合的な話を聞きたかった。お城、伝統建築、現状耐震金物の考察など。先生と大工棟梁とのコラボなど。
 という感想がありました。
 3時間の難しい講義は、先生にとってもたいへんだったようで、お疲れの様子でした。

 

                                                       

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2016年 ぎふ木造塾 第2回講義 報告

有限会社こころ木造建築研究所 代表 山崎健治氏

 

開催日時:2016年9月24日(土)13:30~16:30

開催場所:ふれあい福寿会館 301号室

受講者数:21名

講  師:有限会社こころ木造建築研究所 代表 山崎健治氏

講義内容:職人と共に造る~人と人、木と人との深い関わり合いを大切に~

 

 第2回の講義は「職人と共に造る~人と人、木と人の深い関わり合いを大切に~」というテーマで、山崎健治氏にお話しして頂きました。
 前半は設計事務所を開き、建築会社を設立したお話しで、後半には大工の人工も計算できるという先生独自の木拾い表の説明をして頂きました。
 先生の話の中で、会社名に『こころ』を入れたのは、西岡常一棟梁等の著書『木のいのち木のこころ』を読み『木を組む前に人を組め』の言葉に感銘を受けたからだそうです。
 先生が今の仕事のスタイルにしていったのは、森林、職人、構法の事を知らなさすぎたので、伐採植林を体験したり、職人と一緒に勉強していくうちに、力ある家づくりチームを作ろうと思い「変えていく力、実行していく力、継続していく力」の3つを基本に進めていった結果だそうです。
 大工人工を取入れた木拾い表は、大工さんの地位が現在あまりにも低い為、その仕事が施主の目に見えるように数値化するためだそうです。それだけではなく、工事の日程も明確になっていくので、一石二鳥の表です。講義の時間中にこの表を簡単に埋めましたが、設計の仕事しかしてなくても、職人さんの顔が見えてきました。職人と共に家づくりをしていく中での良いヒントが頂けました。時間が足りなく詳細な説明は聞けませんでしたが、先生のご厚意によりデータを後日頂きました。木拾い大工人工表の講義をまたして頂きたいと思いました。

 

【受講者の声】
・設計、施工を責任をもって、トータルに行われていることを聞けて、勉強になりました。よい木造住宅のつくり方がわかりました。
・木にこだわりがあり、すばらしい。
・実務的でとても有意義な内容でした。見える化=目標設定はぜひ取入れたいと思いました。

 

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2016年 ぎふ木造塾 第1回講義 報告

開催日時 :2016年8月27日(土)13:30~16:30
開催場所 :ふれあい福寿会館 301号室
受講者数 :25名
講 師  :杉下 均 氏 (建築家)
講義内容 :造化にしたがひて四時を友とす

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今年度ぎふ木造塾の第1回講義は、建築家 杉下均氏に「造化にしたがひて四時を友とす」と題し講義を頂きました。1975年より岐阜を拠点に設計活動を展開され、多くの建築作品を、作品を発表されてきました。当日は、その杉下建築の美しさ・魅力・考え方を、私たち塾生に、とても分かりやすく講義して頂きました。

 前半、杉下氏が、今まで自身に感動・影響を受けた建物写真を通して教えて頂きました。多くの歴史的建物、民家建築、現代建築から、プラン構成、柱、壁・壁厚、光の豊かさ・ありがたさ、窓辺の心地良い風景・風・雨・自然、軒・建物高さのスケール等のキーワードを通じて、建築の美しさ・魅力・考え方を教えて頂きました。

後半、杉下氏が、今まで自身が影響を受けてきたものを、如何に建築作品に反映し造り上げてきたか、これまで設計された実際の建築を通じて、建築の美しさ・魅力・考え方を教えて頂きました。

講義資料に、松尾芭蕉 1709(宝永6)年 刊、笈の小文 序文「造化にしたがひて四時を友とす」(自然に従い、春夏秋冬を友としている)の訳文が記載されていました。
「西行の和歌、宗祇の連歌、雪舟の絵、利休の茶など、それらを貫く道はただ一つ、それは芸術の道である。美は万物の流転、自然に従い、春夏秋冬を友としている。それ故に、花が美しく見えないことはなく、月を美しく思わないことはない。花に美を見いだせないなら野蛮人であるに等しいし、花を美しいと思えないならば鳥や獣の類であるといえよう。野蛮人であることをやめ、鳥や獣であることから離れ、万物の流転に従い、自然に還らねばならない。」

 講義を聞き終え、改めて資料を読むと、杉下均氏の建築家としての使命を深く感じました。多くの事を、塾生一同勉強させて頂き、本当にありがとうございました。また、懇親会にも出席して頂き、岐阜の建築の歴史・若い頃の苦労話や講義中では聞けなかった色々なお話もして頂きました。

 今回、ぎふ木造塾の第1回講義という事もあり、岐阜県建築士会 藤井会長よりご挨拶を頂き、また委員長の村瀬より今年度のぎふ木造塾の目的・趣旨も説明させて頂きました。今年度はまだ講義が4回と見学会1回を予定しております。今後とも委員会にて塾生皆様に実りある講義が開催できる様に、企画・努力して参りますので、一年間どうぞ、よろしくお願いします。

 

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