2012年度
2012 第2回講義を終えて
テーマ:「自然素材の扱い方と建て主直営方式について」
講 師:㈱シテイ環境建築設計 高橋昌巳
高橋氏は、東京都の出身で、芝浦工業大学、建築学科卒業、馬場1級建築士事務所勤務後、1987年シティ環境建築設計設立の代表者でもあり、又、芝浦工業大学・建築工学科非常勤講師も勤めみえます。
地元の木を使用、自然素材・伝統工法・竹小舞土壁の家で、気候風土に合った家造りです。
又、建て主と直営方式・各業者別分離発注方式・約25年間、独自の家づくりを続けてこられ、住み手が工事に参加できる方式は在るだろうか・設計者、素材業者、職方、役割はなんだろうか・材料の値段や職人の技量差を評価される仕組みは無いのか・構造の安全性、素材の健康性、室内の快適性をどのように確認するか・などの疑問点からの今回の講義内容でした。
初めに、伝統工法のご説明で、竹小舞土壁の家・土台150角柿渋防腐剤使用・梁は赤松乾燥3年材・吉野杉200年材・外壁は焼杉t40やとい貼り・浴室壁青森ヒバ、サワラ・又現場で輪島拭き漆材と自然素材工法の話でした。
長寿命住宅の工事監理内容では、庇の長さを1.2m~1.5m・柱と壁部分は変成シリコン打ち・屋根下地にアスファルト17kg+コロシートで通気性を考慮した対応・棟瓦に鉛シート貼り・外壁は土佐漆喰鎧工法(クラックが入っても外部に水が抜ける為)・間伐材60年材は抜け節が多い80年材で対応・畳は藁を2年間乾し五層・土台は建て主で柿渋防腐塗装処理・土間タタキはサンワードで表面温度15℃前後との事です、最後には、竣工式を盛大に開き、建て主、設計者、職方で建物経年劣化対応の事を考えての開催でした。
休憩後は、分離発注方式の話で大工工事の見積内容、構造人工、雑人工・見積変更金額の増減内容対応記入方法・工程表作成方法、契約書、銀行融資、月付の支払い金額集計・平面図、立面図、断面図、伏せ図の内容説明とコスト、品質、施工、業者間交流まで徹底した監理方法の話でした。
質疑&応答で( なぜ真壁の家を建て続けるのか ?)を考え、結論は出ませんが、柱梁現し、漆喰塗り、燻し銀瓦の風景は日本独自で原風景のように思いますとの事でした。2次会は、大工、木材工務店、設計者などで本音の話し合いの大変盛況な充実・時間でした。
今後木造分野は、特徴のあるスタイルを発信していかないと、経営的に厳しい時代です、意欲のあふれる地域で仲間つくりをし、建築産業の復活を願っての講義でありました。
翌日に高速バスを利用して、郡上八幡の町並みを探索し、清潔で雰囲気のいい町ですと返事がきました。
〈受講生の声〉
・高橋昌巳講師の講義は、25年の実績に裏付けされていて説得力がある。若手の設計士は、こういう講習会に参加して、もっと勉強してほしい。10年も持たないような水仕舞いの納まりや、まちがった素材の選択、お施主さんの悲劇を生まないように
・普通の人が普通の技術で施工するとの話しに 同感できる
・面白い!とにかく面白い講義です。大工の私には非常にためになる話です。懇親会にいけないのは残念です。こういう仕事がしたい・・・
・設計事務所として、社会的信用を得る方法として施主や職人に対してオープンであり、フェアである事は非常に重要ですが、実践されている所は少ないなか、ここまで徹底して実行されている高橋先生のお話に、非常に刺激をうけました。
・設計、コスト管理 施主や職人さんとの関係のあり方が、自分が理想とするものに近く、とても勉強になりました。
・「長寿命の家をつくる」ということは、「修理をしながら、住み続ける」ということで、そのために建て主が職人と直接つながることが必要ということがわかりました。
・材料を自ら仕入れる設計事務所の形態は今後の新たな事業の在り方と思う