2011年度
第6回講義 郷鉄工所 迎賓館見学を終えて
郷鉄工所 迎賓館見学を終えて
11月26日(土)に岐阜県不破郡垂井町表佐に有ります「株式会社 郷鉄工所内 迎賓館及びお茶室」の見学会を開催しました。
午前と午後 総勢60数名の見学となりました。
講師は、揖斐川歴史民族資料館の高橋宏之館長で、数寄屋風デザインについて講義を受け、書院造りと数寄屋風書院の意匠上の違いの解説がありました。
又、建築主の「郷 宗二」氏と、棟梁「安藤金左エ門」氏については、建築士会の河野元副会長が説明をされました。
講師:高橋宏之館長
講師:安藤朝三氏・河野元副会長
郷 宗二氏は大垣市生まれで、土木建築業の「郷組」を創り戦中戦後に数々の公共事業に実力を発揮され、現在の郷鉄工所を築き上げたそうです。「義理人情に厚く太っ腹」な方で、迎賓館(当時は自邸)の建設については、お金に糸目は付けず全国から材料を集められたことや、職人の通勤用の車として「ブルバード」2台を買い与え、腕のいい職人を工事に従事させたそうです。
安藤金左エ門棟梁については、当時工事にも従事された御親戚の安藤朝三様に工事中の
いくつかのエピソード等を聞くことが出来ました。柱は東濃桧を自然乾燥させて製材して、米粒程度の節があれば使用せず、50本中、10本使用出来るかどうかの神経の使いようだったそうです。
又、浴槽の材料として銘木のコウヤマキ材を使用していますが、これは、材木商の2社が入札で金額を競りあった代物だそうです。縁側の化粧丸垂木は、昭和46年当時1本1万円したそうです。1階の和室の床柱の材質が、わかりませんでしたが、安藤氏に尋ねると「桑の木」とわかりました。当時を知る人のお話を聞くことができ、とてもよかったです。
迎賓館 玄関
その後 見学は自由とし、受講生同士が材質・納まりについて意見を交わしましたが、
受講生の皆様からは、見る場所が多く時間が足りなかったとのお声もいただきました。
さらに郷鉄工所会長様からは、午前の部で この建物をどのように保存し、活用していけばよいかとの悩みも聞かせていただきました。また、今後個人的な見学についても対応して頂けるとの事です。
別館 茶室