2017年 ぎふ木造塾 第1回講義 報告
「総合的な環境価値をつくる」~多面的な環境性能を評価する~
開催日時 平成29年8月26日(土)13:30~17:00
開催場所 OKBふれあい会館 301会議室
講 師 ビオフォルム環境デザイン室 代表 山田貴宏氏
受講者 19名
講義前半は、建物の価値と、変化についての話でした。
人口の減少、家族のカタチの変化、空き家の増加など の社会構造の変化にともなって、家づく
りも変化をしてきている。建築がつくる価値も、物理的空間性から、時間性、モノからコトのデ
ザインへ、量から質へ、と重視するものが変わってきている。建物の省エネ性能も重視されてき
ているが、外部環境との関係性を断った、閉じた建物になりつつある。外部とのつながりを保ち
ながら暮らす、パーマネント(永続性)とアグリカルチャー(農業)を組み合わせた、パーマカ
ルチャーという考え方の紹介があった。
その後、環境性能は「断熱」と「気密」だけではなく、という、「閉じた室内環境」だけでな
く、外部の環境に開いたつながりの重要性についての話しがあった。また、近隣とのつながりも
重要で、コミュニティーも含めた環境価値の形成についての話しもあった。
事例としては、コーポラティブハウスとして計画をすすめてきていた建物に、講師自信が住む
ことになったこと、ワークショップに参加してきた人たちが、近所に引っ越してきて、コミュニ
ティーが出来たことなどの話しがあった。南側に小さな菜園があって、隣どうしが親しく付き合
っているアパートについての話しがあり、ここは住民にとってのメリットだけでなく、家主のア
パート経営という面からも、メリットをもたらしているということでした。
建物の省エネ性能を上げることで、高くなる建築費と削減される光熱費とのバランスや、お金
に換えられない環境価値を含めた計画をすることの重要性を考える講義でした。
【受講者の感想】
■「環境」を広い視野で建築へ取り入れる思想と技法を学ばせていただきました。建築・建設を
完了させて目的達成ではなく、その後のライフプランに目的があることを再認識いたしました。
■建築士も人間のくらしを多面的に考えていくべきだと思いました。 建築は人にとって一部で
あってくらしの中まで考えて設計していくことが大事なのではないかと気づかされました。
■内容は良かったです。持続可能な社会をいかに維持して行くのか?判りやすかったです。
■興味のあるテーマで参考になりました。
■大変環境によい建物を設計していて勉強になりました。
■断熱や気密の計算や数字の話は苦手ですが、写真を交えての実例トークや歴史の変遷を見て
のお話は大変興味がひかれておもしろかったです。自分も将来パーマカルチャー的な家を造り
たいです。
■実例をもっと聞きたかった。
■計算ありきの省エネに、もやもやしていましたが、今後の設計に役立ちそうです。
■省エネの考え方をいろいろな角度からお聞きでき勉強になりました。
■普段の勉強会などでは聞けないリアルな内容の話を聞けたので、とても良い機会の話でした。
■山田先生の講演を聞いて、建物によってもたらされる環境や人とのつながり、風土や気候に対
応する建物事例を見られて勉強になりました。いるかビレッジは近いので訪れてみようを思いま
す。ありがとうございました。