岐阜県建築士会 まちづくり委員会

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福まち建築士 2018年度

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建築士会全国大会 福祉まちづくりセッション

セッションの様子

 

日時:平成30年10月26日(金)

会場:大宮ソニックシティ・ビル棟6F 601会議室

テーマ:『福祉まちづくり建築士の育成に向けて』

-2025 地域包括ケアシステムにおける住まいの担い手・建築士とは-

報告者:桂川麻里

 

 まず、住宅系の事例報告を7つ発表して頂きました。

 岐阜県は福まち委員の下川さんから岐阜県の取組み「私のまちの建築士をめざして」について発表して頂きました。前年度は病気の内容等も含めた研修を行い「福まち建築士」を誕生させ、今年度は福祉まちづくり建築士相談派遣制度を始めました。まず、活動内容を市町村の高齢福祉課や地域包括支援センターへあいさつまわりをし、その他にもまだまだ勉強不足の部分もある為、勉強会や事例紹介等も行っています。

 愛知県は「福祉のすまい特別委員会のとりくみ」を発表して頂きました。地域ケア会議に出席出来るように活動し、医療従事者等ともに話し合い等をもって、色々な障害に対してどのようなことができるか模索しているそうです。問題点として、リフォーム詐欺に合う高齢者が多いそうです。建築士に対しては年8回に渡り講習を行っているそうです。

 群馬県は「高崎市におけるリフォームヘルパー」を発表して頂きました。補助金について見積書が適正かどうかチェックするそうです。また、介護保険のパンフレットに「リフォームヘルパー」についての内容が記載されているそうです。一般の方が目にするものに建築士としての存在が記されているのは大変良い事例だと思いました。

 東京都は「福祉まちづくり・バリアフリー特別委員の取組み」を発表して頂きました。

福祉用具や福祉施設の理解を深め、多面的にとらえられるように今年度は3つの内容「バリアフリー」、「認知症を知り、生活空間を考える」、「医学博士による健康長寿と住環境の関係」にて講習を行っていくそうです。他県の内容も参考に岐阜県でも行うと良いと思いました。

 秋田県は「秋田花まるっ住宅サポートネットワークの取組み」を発表して頂きました。

平成15~17年で各地域においてバリアフリーコーディネーターを誕生させ、6チームで活動をしていたそうですが、現在は3チームだけとなってしまったそうです。如何にして継続させていくかが課題だと思いました。建築士だけではなく他の分野の方とも情報交換を行い、一般市民の方も参加しているそうです。岐阜県でも今後利用して頂く一般市民の方の意見も取り入れていけると良いと思いました。

 石川県は「石川県におけるバリアフリー住宅改修等への支援について」を発表して頂きました。他のセッションと重なっているため部会長さんが代わりに発表してくれました。建築士会での活動ではなく「バリアフリー総合研究所」という別団体で活動しているそうです。派遣のタイミングは事前の打ち合わせ、施工中の打ち合わせの2回で費用は研修センターから出ていて一式1万円ではありますが、年間で46件の依頼があるそうです。

 徳島県は「バリアフリーデザイン研究会の活動」を発表して頂きました。

依頼を受けた後、事前打ち合わせの時から他の専門家と共に聞き取りや調査を行うそうです。平成5年から始めて現在までに800件の実績があるそうです。一番初めから色々な専門家と共に行うことで、施主様にとって負担が少なくなるので良い取組だと思いましたが、そこまでになるまで大変だったと思います。

 

 次にその他の2つの事例報告をして頂きました。

 建築士会連合会からは「2020年大会に向けたピクトグラム(図記号)のあり方の会議と国土交通省のホテル・旅館に関する建築設計標準改定委員会の報告」をして頂きました。

2020のオリンピックに向けて、介助用ベッド、ベビーチェア、おむつ交換台、こどもお手洗、着替え台、簡易型オストメイト用設備、男女共用お手洗、カームダウン・クールダウンの8つのピクトグラムが追加されるそうです。

(URL参照 http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/pictogram/picto_add2018.html)最後のカームダウン・クールダウンは図を見ても説明文を読んでも良くわかりませんでしたが、パニック症状をおこされた方がリラックスするための場所となるそうです。これらは国立競技場等に設置されるそうですが、今回このセッションに参加していなければ知らなかったので、2020年までに一般の人々にももっと知ってもらわないといけないと思いました。

 兵庫県からは「福祉のまちづくりアドバイザーによるチェック&アドバイス制度について」報告して頂きました。

平成4年10月に「福祉まちづくり条例」を全国に先駆けて制定し、利用者目線で公共施設等を整備してきたそうです。研修を受けた建築士・社会福祉士・理学療法士・作業療法士等を専門家アドバイザーとして、また研修を受けた障害者等の利用者を利用者アドバイザーとして「福祉のまちづくりアドバイザー」として登録しているそうです。利用者アドバイザーは現在4人だそうです。

 

 次に行政説明として、厚生労働省 老健局 高齢者支援課 福祉用具・住宅改修指導官 松本琢磨氏に『地域包括ケアシステムと高齢者の住まい』というテーマで「地域包括ケアシステムにおける高齢者住まいの考え方と介護保険での福祉用具・住宅改修について」という内容でご講演して頂きました。

 松本様は平成元年から作業療法士として、交通事故による高次機能障害や障害のある小児をどう生活に戻すかということを29年間行ってきたそうです。

 介護保険を取り巻く状況、高齢者の住まいの考え方、介護保険の福祉用具、介護保険の住宅改修、福祉用具・住宅改修のあり方の5つの内容についてお話して頂きました。

 出生率は世界的に減っているが、65歳以上の高齢者の数が日本は世界的一番多いそうです。ということはやはり、在宅で介護をしなければならない人たちが増えていくことは間違いないと思います。そう言ったことからも医療における方たちだけでなく住宅に係る私たちも建築士として出来ることは何かということを一人一人が考えていかなければならないと思いました。

 

厚生労働省 老健局 高齢者支援課 福祉用具・住宅改修指導官 松本琢磨氏