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福まち建築士 2024年度

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かかみがはら支援学校 見学会

日時 :令和7年3月19日(水)13:00~14:30

場所 :各務原市立かかみがはら支援学校

参加者:6名

 

木を使用した外観              インクルーシブ遊具

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 令和7年4月に移転開校する「各務原市立かかみがはら支援学校」を見学しました。

 建設工事に携わった各務原市役所教育委員会の牧田様(元各務原市建築指導課)にご案内いただきました。

 

~学校案内より~

 かかみがはら支援学校は、小・中・高一貫、知的障がい、肢体不自由、病弱のある児童生徒を対象とする複合型の特別支援学校です。

 新たな校名の「かかみがはら」には、ひらがな表記をすることで低学年の児童にも親しみをもち、広く全国に発信できるようになってほしいという願い、また、「支援学校」には「特別」ではない支援が自然にできる学校になってほしいという市民の願いが込められています。

 

~見学の感想~

 色々な事を考えて、事前に色々な方のお話しも聞いて進めてきたプロジェクトでも、完成しても問題が出てくる。そんなことはどんな建物にもありますが、支援学校ですと妥協できない細かなところがあると知ることが出来、症状が異なることへの正解は何かを改めて考えさせられる見学会となりました。

 インクルーシブ遊具等は休日等に外部から利用出来たり、子供たちが作ったお菓子等を販売したり、接客する場などもあり、開かれた環境で垣根なく接する場があることは良い事だと思いました。(参加者)

 

 建物の外観や室内の天井の形など、いままでの学校のデザインを取り入れながら、昇降口を入ると広がる「本の森」と呼ばれる図書スペースが特徴的でした。

 生活体験室や実習室を前に「これから生きていくために」と言われた言葉が印象に残っています。

 ご案内いただいた牧田様からは、建設場所の選定から補助金の確保、そして多くの関係者の意見をまとめるご苦労、工事の様子などを見学しながらお話しを伺うことができ計画から完成までの背景も知ることができました。(参加者)

 

 今までいくつか特別支援学校を見てきましたが、かかみがはら支援学校は明るく、ゆったりとしたつくりになっていました。開校にあたり色んな意見があり配慮したり、工夫したりと大変だったと思いますが地域の方にもあたたかく迎え入れらるそんな施設になっていくと思います。

 この時期に見学をできてよかったと思いました。(参加者)

 

 5年間計画~完成まで携わってきた施設整備の担当者の方が案内してくれました。

 全国の支援学校を廻り、先生方や保護者の方の意見を取り入れながら計画されていて感銘を受けました。

 市立の支援学校で小・中・高一貫であり、知的障がい・肢体不自由・病弱の児童生徒を対象とした学校は全国でも数少なく、神戸市など都市以外では初めて、また同じ敷地・建物に小・中・高がそろう市立の特別支援学校は全国初だそうです。担当者たちが気合を入れて計画したことが窺えました。

 木がふんだんに使われてた内装は、岐阜県の県産材を使う事で補助金が受け取れるから、という大前提もありますが、通う子供たちの顔を思い浮かべながら設計をされたのだろう、という温かい気持ちも伝わりました。屋内プールなど金額が跳ね上がってしまった設備・施設についても通う子供にとって必要だという事情で進めたこと、地元企業の寄付で賄えた設備もあることを聞き、地域の誇れる学校に育っていくといいと思います。

 インクルーシブ遊具のあるエリアや喫茶室を中心に地域開放エリアも計画されていました。ちょうど支援学校敷地すぐ隣に「うぬま子ども館」があるので、子ども館に来た親子が足を運ぶようになるといいなと思いました。(参加者)

 

 共生社会という考え方が広がりつつある現在、以前までの支援学校と比べ、支援学校として必要な部屋や設備を整えつつも、普通学校と変わらないような開かれた施設となっていました。全体的に「楽しく通ってほしい」という気持ちが反映されているのは、まさに共生社会の理想に近づいている証だと思います。子どもたちが楽しく学び、社会と繋がりながら成長できる場になると良いと思います。(参加者)

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令和6年度 全国大会 福祉まちづくりセッション

テーマ:小規模店舗(施設)のバリアフリー化 課題と展望

    ~誰もがふつうに暮らせる地域社会への貢献について~

場所 :カクイックス交流センター 3F 中研修室2

出席者:43名・オンライン40名/岐阜県会場出席者1名

 

セッションの様子

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 今年の福祉まちづくりセッションは「日本福祉のまちづくり学会未来型UD戦略特別研修委員会」とのコラボ企画としてセッションを行いました。

 流れとして講師の方のお話を聞き、全国の建築士の方の活動報告を聞き、最後にディスカッションを行いました。

 最初は東洋大学名誉教授の髙橋儀平氏の「小規模施設のバリアフリー化について~我が国の現状や問題点など~」を聞きました。

 法律の変遷からお話し頂き、思ったより以前からバリアフリーについての内容が盛り込まれていましたが、絶対的な人数の少ない障がい者の方達のことは最低限のことしか行われて来なかったのだと思いました。小規模店舗のバリアフリーの改修についての事例もたくさんあり、今後の仕事での気を付ける点、気にしなければならない点を学ぶ事が出来ました。髙橋儀平氏のお話しはオンラインで聞いたことがありますが、いつも何かしら気づかされることがあります。また、著書も多数ありますが、読みやすいので皆様にもお手に取って頂きたいと思います。

 

 次は、NPO法人「e ワーカーズ鹿児島」の理事長である紙屋久美子氏の「かごしまバリアフリーツアーセンターの活動について~小規模施設のバリアフリーの有効性~」をお聞きしました。

 e ワーカーズ鹿児島の業務内容は鹿児島県内全域の宿泊施設や観光施設、交通機関等の現状調査及びその情報発信だそうです。福祉住環境コーディネーター2級を取得し、宿泊施設や観光施設のバリアフリー化に向けたアドバイスも行っているそうです。小規模の宿泊施設や観光施設だとどうしてもバリアフリーに対する予算が足りなかったりしますが、「今出来る事への提案」をするということでした。そのためには色々な良い事例を見て参考にすることも大事だと思いました。ハードでダメならソフトでカバーする方法も設計者として説明出来るようにしたいと思いました。

 また、余談ですが今回の話を聞いた後に鹿児島市内の市電に乗ったら、車いす可能な乗降場かどうか分かるようになっていました。市電なので広く乗降場を取れない場所があり、車道との関係で広くするのは難しいですが、情報が分かりやすいと利用出来る出来ないを自分で判断出来るのだと実感しました。

 

髙橋儀平 氏                 紙屋久美子 氏

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 次は全国の建築士会の活動報告です。会場で配布される「セッション資料集」には北海道・埼玉・群馬・東京・神奈川・新潟・岐阜・大阪・宮崎・沖縄の活動報告が掲載されていますが、それとは別に小規模店舗に関することを4名の方に発表して頂きました。

 この4名は全国大会で知り合って、色々な情報交換をしてお世話になっている方々です。下記にもありますが、バリアフリーを堅苦しくではなく、みんまで楽しめるためにはどうしたら良いかと捉えてバリアフリーと向き合っている方々だと思います。

 1人目は埼玉の本多健氏で「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計基準に関するフォローアップ会議」についてお話し頂けました。法等の整備だけで終わらず、その内容について点検、改善をしていくことの重要性がよく分かりました。また、バリアフリーの概念を誰もが「移動できる」ではなく誰もが「楽しめる」こととして捉えるのは大事なことだと思いました。

 2人目は東京の川口孝男氏です。連合会建築士会の福まち部会の部会長をしています。今回は士会の活動ではなく、「自立支援・協働ロボットが開くバリアフリーの世界『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』視察体験報告」をして頂きました。分身ということで、ロボットを動かす「パイロット」は自宅からでも操作可能です。一番良いなと思ったのは、配膳は出来るがうまく話せなくて接客業が出来ない方が、上手に話せるが配膳出来ない方が小型分身ロボットの中で接客をするという、補い合って配膳が出来るということでした。東京へ行くことがあれば予約して行ってみたいと思いました。

 

本多健 氏                  川口孝男 氏

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3人目は宮崎の岩浦厚信氏で「宮崎市の小規模施設のバリアフリー化の成果について」お話し頂きました。「昔は公共施設と病院にしかバリアフリートイレがなかった」という言葉を聞いて今でも高齢者や障がい者は外出するのが難しいですが、更に難しかったのだと思いました。ただ、現在はガイドライン等でユニバーサルトイレが増えていますが、ハード面でただ付いているだけ、ソフト面ではそこまでの通路にものを展示してありそこまでたどり着けない等当事者が使えない状態が多々あるように思います。自分もそうでしたが当事者と関わりがないと思いが至りませんでした。万人にぴったりの事は出来ないと思いますが、色々な人に思いをはせて設計して行きたいと思いました。

 4人目は京都の村松徹也氏に「福祉のまちづくりの更なる発展を」についてお話しして頂きました。元行政としてのお話しと、現在も行政との連携を続けている方です。こういった方がみえる行政はバリアフリーがうまく進んでいくのだと思いました。こういった良い前例を持って岐阜でも行政との関わりを持っていけたら良いなと思いました。

 

岩浦厚信 氏                 村松徹也 氏

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 続いて髙橋氏、紙屋氏も交えて全員でディスカッションを行いました。色々な話で盛り上がりましたが、私が一番心に残ったことは小規模店舗だとトイレは男女共同で1つしかなく、バリアフリートイレまでのスペースがないというところはたくさんありますが、そいった時でも近くの公共トイレを把握しておいてそこを紹介出来るようにすれば、小規模店でもみんなで楽しめるということでした。ほんのちょっとのことなのに「気づく、気付けない」、「知っている、知らない」の差は大きいのだと思いました。

 

 仕事の合間に行く全国大会は大変ですが、井の中の蛙とならないように参加出来る限り全国大会には参加出来たらと思います。

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令和6年度 第1回 フォローアップ研修(白川郷見学)

日時 :令和6年9月27日(金)11:00~16:00

場所 :白川郷、白川村総合文化交流施設(白川郷道の駅内)

参加者:福まち建築士 6名/その他 2名

 

 秋なのに驚くほど暑い日でした。木陰に入ると涼しくほっと出来る場所もありました。

 今回の研修は飛騨市から重度心身障がい者である勝田萌さんが母のなお子さんと一緒に参加して頂けました。福まち部会のバリアフリー見学会でしたので、当事者の萌さんと行動出来たことはとても有意義で大切な経験をさせて頂きました。

 白川郷の重要伝統的建造物群保存地区内にあるユニバーサルトイレを4箇所、道の駅白川郷のユニバーサルトイレ1箇所、計5箇所のトイレを見学しました。スロープの角度や幅なども検証し、その後、勝田さんと意見交換しました。

 地区内は思ったよりスロープはありました。また重度心身障がい者の車いすが通る事が出来る通路等も整備されていました。ただ舗装が整備不良で、方向転回の難しいカーブ等もありました。またユニバーサルトイレには大人のおむつを替えるスペースがまったく無かったです。収納式多目的シート(以下ユニバーサルシート)の必要性を実感しました。

 意見交換会では勝田さんのおかげで、当事者でも意見の相違があるということが分かりました。人によって万人に合うものは無理なので、今回地区内を散策中に”手を貸しましょうか”と声を掛けてくれた外国人の方のように、ハードが合わないところは心のバリアフリーで解消する日本でありたいと思いました。

 

見学しながらの意見交換

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※奥に授乳室があり、そこのベビーシートがもう少し大きいと大人である重度心身障がい者のおむつ交換に代替でき外出の幅が広がるそうです。

 ユニバーサルシートをトイレに設置出来ない場合、こういったスペースにもう少しだけ配慮できるようにしたいです。

 

白川郷内のユニバーサルトイレのひとつ    舗装がはがれてトイレまで行きにくい

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白川村総合文化交流施設の視聴覚室で意見交換会

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ゆにぃんくるとの交流

日時 :令和6年4月11日(木) 20:00~21:50

場所 :オンライン(Zoom)

出席者:福まち建築士 6名/ゆにぃんくる 4名

 

交流の様子

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 岐阜大学の学生の有志により立ち上げたボランティア団体「ゆにぃんくる」の方々と交流をしました。岐阜地区と西濃地区の「ユニバーサルシート」について調査し、マップを作成したという情報より連絡を取り実現しました。

 12人のメンバーの内4名の方とお話し出来ました。ユニバーサルシートとインクルーシブを合わせて「ゆにぃんくる」とつけたそうです。

 調査について苦労したことや思ったことのお話しを聞きましたが、車いす使用者の加藤さん(ゆにぃんくるの代表)や建築と関係のない学生さんの話には気づかされることがたくさんありました。

 行って良かった施設として「岐阜三輪PA」が上がりました。東海環状自動車道上にあるので気軽に行けるとこではないですが、37ヶ所の内一番のところだそうなので是非行ってみたいと思いました。

 

ユニバーサルシートマップが見られる「ゆにぃんくる」のホームページ

https://yunincl.com/

 

最後は桜の花のリアクションで記念撮影

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