福まち建築士 2022年度
「福まち建築士」新規募集案内
「福まち建築士」誕生から5年目となりました。今年度新規募集を行います。
下記PDFをダウンロードの上、申し込みをお願いします。
全国大会秋田大会 福祉まちづくりセッション
日時:令和4年10月14日 (金) 10:00~12:00
場所:にぎわい交流館 AU 4階 研修室1.2
出席者:福まち建築士 コメンテーター2名(会場1名・オンライン1名)
会場全出席者:38名
セッションの様子
福祉まちづくりセッションは下記の3部構成の盛りだくさんの内容ですすみました。
第1部:国交省の「高齢期期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」と高齢者住宅協会『住まいの提案力UP講座 入門編・応用編』
第2部:国交省「高齢者・障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」
第3部:社会から必要とされる存在に向けての意見交換
発表の様子
第1部は昨年度の全国大会で2019年に「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」を国交省が策定した話から、その中で定義されている「①長く健康に暮らせる住まい」、「②自立して自分らしく暮らせる住まい」、「③介護期になっても暮らせる住まい」、「④次世代に継承できる良質な住まい」ということが勉強できる良い講座があるという話が出て、高齢者住宅協会の『住まいの提案力UP講座』が紹介されました。それがオンライン講座だった為、47都道府県の福まちエリアリーダーで受講してみようということになりました。その報告を岐阜がすることになり発表してきました。入門編は無料ですがテキストは自分でダウンロードして、手元においておくと役立つ内容がたくさん入っています。応用編は有料ですが、他の人の営業トーク的なことが聞ける貴重なチャンスだと思います。
第2部は埼玉の本多さんに「高齢者・障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(※通称赤本)の改定の内容について説明して頂き、また本多さんはその内容に意見をいえる立場である為、5年に1度程度に改定がある建築設計標準について、より良い意見等を福まちで募集しそれを伝えることをしていきたいとお話し下さりました。
その次にその赤本の改定内容について、国交省の担当の方による出張講座をオンラインで行なった神奈川の松田さんにその時のお話をしてもらい、その時もオンラインだった為、全国の福まちリーダーにもお声を掛けて頂き、参加した方のお話も聞きました。そういう出張講座を岐阜でも利用できたらと思いました。
「公共建築のバリアフリーワークショップ開催の意義」については徳島の河村さんからお話しして頂きました。「鳴門市ユニバーサルデザイン点検会」を開催していて、点検についての内容を建物の管理者に伝えることで、全てが改善されるわけではないが、何度も行うことによって改善されていくことが分かりました。
「災害時における避難施設、障害者の避難について」は岐阜県が行っている「応急仮設住宅」の検証の発表を行いました。全国各地で大雨や地震により「応急仮設住宅」で暮らす高齢者や障がい者はただでさえストレスをためがちですが、その軽減も出来るようなプランを福まち部会で出来ないかという呼びかけのきっかけになると良いということで発表させて頂きました。私自身は仮設住宅で暮らしたことがないですが、全国から意見が出れば実際に暮らしたり、身近な人が暮らしていたという話を聞いて暮らしにくさを改善できるプランが出来れば良いと思います。
また、京都の村松さんに「バリアフリー情報の発信と宿泊客の増加」についてお話し頂きました。この講演も福まち部会に紹介され、私も参加させて頂きました。この詳しい内容は別途下記URLを参考にしてください。
https://www.gifukenchikushikai.or.jp/iinkai/machi/-2022-1/post-3378.html
第3部は愛知の石井さんに『医療従事者と建築士と連携~福祉の世界における建築士の守備範囲~』のお話をして頂きました。資料として「~医療従事者と建築士との新たな連携を目指して~」、「医療従事者と建築士と新たな連携を考える」、「既存住宅状況調査 福祉版 実施マニュアル」を頂きました。マニュアルは報告書の書式や図面を描くポイント等がとてもわかりやすい資料となっています。この活動は補助金を頂いて行った事業で、それをボランティアで終わらせるのではなくどう業務に繋げるかを考えながら進めてきたそうです。何件か行って「患者にあったリハビリ計画」、「住環境の課題が分りやすい」等の付加価値が得られたので多職種の方々が建築士とも連携する大切さを理解して頂いたようです。岐阜では多職連携がうまく進んでいません。愛知県では県内で終わることなく、成功例を持って他県でも多職種連携が出来るようになって欲しいと思ってくれています。「建築士って何をやる人?」と言われないよう石井さんが話していた「福祉の世界における建築士の守備範囲」を建築士以外の方にも知ってもらい、高齢者や障がい者等が遠回りせずより良い生活を送って欲しいと思います。
「医療従事者と建築士の連携」資料3部作 発表の様子
続いて宮崎の岩浦さんに宮崎県で行っている「1.国民スポーツ大会施設への障害者等の意見の反映活動」、「2.宿泊施設バリアフリー化促進事業ぼバリアフリー相談」、「3.多様な人たちが宮崎観光を楽しむための情報収集活動」、「4.重度障害者住宅改修助成事業」の活動内容を紹介して頂きました。重度障害者住宅改修事業では工事の中の経費として設計料を受け取っていると言っていましたが、設計料がないわけではないですが、介護保険制度でも設計料は経費としてしか名称が出てこないので、設計費として名称が出てくるシステムが必要ではないかと思いました。
また、九州沖縄自治体の高齢者障害者等に対する住宅改修助成制度について調べて発表して頂きました。助成制度の中で建築士が関わっているのは福岡県と福岡市、熊本県が相談を受けることになっているが、その他については助成金があっても建築士は関わっていないということが分かりました。関わっていないことで問題はないのかどうか等今後皆さんからの意見を聞いてみたいと思いました。
13日のリハーサル時から機器トラブルがあり、14日にも改善されておらず時間がなくなってしまったのが残念でした。オンラインで発表して頂ける河村さんの順番までにはつながりましたが、画面共有が少しおかしかったのは残念でした。ですが、全国の皆様の活動の様子が分かり、岐阜での取組みにも更に力を入れたいと思いました。
令和4年度 第2回 フォローアップ研修(実践研修会)
日時:令和4年10月11日(火) 13:30~15:30
場所:瑞穂市総合センター 5階(第1、2、3会議室)
出席者:福まち建築士 講師1名 ファシリテーター5名
その他1名
研修の様子と講師の下川氏
10月6日(木)の第1回フォローアップ研修の実践編として、もとす広域連合の「介護保険住宅改修適正化研修会」に参加しました。福まち建築士の下川さんを講師として、第1部『介護保険改修適正化研修:住宅で安心してくらすための居住環境について』、福まち建築士をファシリテーターとして、第2部『グループワーク:動線を意識した居住環境を考える~住まいから考える安全安心な暮らし~』という内容でした。
適正化研修会の対象者としては「居宅要介護(要支援)被保険者から住宅改修について相談を受ける方」が参加していました。
第1部として「手すりの取付け・段差解消のポイント」についてお話し頂きました。その次に適正化事業業務の中でチェックする時に内容が伝わりにくい申請書類が多々ある為、今回ワークショップをしながらどのようなことに気を付けて書類作成をすれば良いかというポイントをお話しして頂きました。
第2部としてグループワークを行いました。まず「在宅サービスに対応した住宅を考えるヒント」の一部でグループワークに役立つ部分を抜粋してお話し頂きました。その後、グループワークの方法や設定、最終的に発表する内容について説明頂きました。
A~Eの1グループに5~6名の5つのグループに分かれてグループワークを行いました。私のグループは6人だった為、書記、発表者、要支援者役、同居家族(3人)を決め、まず要支援者役の方や同居家族に困りごとやこうして欲しいという要望を出して頂き、それに対する提案を出してもらおうと思いましたが、こうして欲しいという意見の途中でそれは高すぎて無理、いったい金額設定はいくらなのかというお声がありました。今回は「動線を意識した居住環境を考える」ための勉強なので、金額に糸目は付けない、要支援者のわがままを聞いて欲しいと、その中で本当に必要かどうか検討して欲しいと伝えました。話している途中までは色々意見が出ましたが、最終的には介護保険20万で納まる内容でまとまり、後は同居家族役の方が将来の自分のことも考えてこれは別料金で出すということで水回りの大幅改修もするという意見でまとまりました。リウマチの設定だったのですが、皆さんそのことも常に念頭においてお話しされていましたし、自分の現場でのお話もして頂き、私もとても勉強になりました。
発表の様子
まとめたものをグループごとに発表して頂きました。金額設定は各グループによって異なっていましたし、同じ改修の内容もありましたが、皆さんが動線を考えながらうまくまとめていったのがよく分かりました。
発表後、他の方法もあることを説明する下川氏
部分的ではなく、家全体、生活する家族全体をみて住宅改修が出来、誰もが過ごしやすい空間を、そこに係わる人みんなでつくっていけたらと思いました。
令和4年度 第1回 フォローアップ研修(オンライン)
日時:令和4年10月6日(木) 19:00~20:30
場所:オンライン研修 ※Zoom
出席者:福まち建築士 講師1名 受講者8名
その他6名
研修の様子と講師の下川さん
福まち建築士の下川さんを講師として、第1部『高齢者を巡る制度について』、第2部『在宅サービスに対応した住宅を考えるヒント 解説』、第3部『介護保険住宅改修の注意点』の3部構成として話をして頂きました。
今回は出席者が少なかったため、今年度東海北陸ブロックの後期ブロック大会女性建築士協議会で岐阜県の福まち建築士の活動を知ってもらうワークショップを行う予定でもあるので、女性委員会のメンバーにもお声がけして、4名の方に参加して頂きました。また会長とまちづくり委員長も今年度変わりましたのでお誘いして参加して頂きました。
第1部では「介護保険制度の創設」についてと「国土交通省の施策」の内容でした。9月24日に行われた新潟福祉まちづくり研究会の勉強会とほぼ一緒なので内容は割愛します。
第2部では「在宅サービスに対応した住宅を考えるヒント(案)」の解説をして頂きました。重要なことであると話して頂いたところで心に残ったのは、『高齢者が「主(あるじ)」であり続ける』ためのアイデアで、介護のしやすさ等に目を向けてしまうと忘れがちなことだと思いました。質疑の中で身体的な衰えはどうにかなっても認知症に対応するのは難しいとありました。認知症の方はこれまでの生活を大きく変えない方が良いということなので、今までの生活環境も忘れずに提案していこうと思いました。
第3部では10月11日(火)に予定している「フォローアップ研修(実践研修会)」としてもとす広域連合で行う「介護保険住宅改修適正化研修」の内容を事前に勉強しました。令和4年3月24日、25日に行った研修の内容を確認して、今回の第2部での内容を説明した後、それに沿ったグループワークを行います。福まち建築士はファシリテーターとして参加します。この研修を通して、実際に介護保険の住宅改修の申請を行う事業者さんがより良い提案が出来るようになって欲しいと思います。
質疑の様子
最後に質疑応答を行いました。今回は福まち建築士として活動している方と、そうでない方がいたので、その内容のとらえ方の違いがよく分かりました。建築士としてどんな建物でも精通しているかというとそうではないので、前会長の「みんなが福まち建築士」になれると良いなという言葉が思い出されました。
第4回 新潟福祉まちづくり研究会 勉強会
日時:令和4年9月24日(土) 14:00~16:30
場所:新潟ユニゾンプラザ 4階 大会議室 ※Zoom併用
出席者:WEB参加 福まち建築士 講師1名 受講者1名
研修の様子と講師の下川さん
新潟福祉まちづくり研究会の勉強会にWEBにて参加させて頂きました。
今回は『いつもの家で暮らすということ「あなたの町の住まいの専門家 福祉まちづくり建築士」~岐阜県建築士会の取り組み~』を岐阜県建築士会の下川滝美氏が講師としてお話ししました。
第1部として「介護を巡る制度について」お話し頂きました。介護保険がスタートした2000年(平成12年)4月からどのように現在の制度になったかで、書式が統一されたり、また給付対象が拡充されたりと在宅で頑張ろうとしている方達には利用しやすい制度になってきていると実感しました。それでもここまで来るのに22年、まだまだ改善の余地があると「あり方検討会」で検討されていると知りました。福祉用具貸与のうち「同一製品を3年以上利用」ということ「手すりについては30%以上」が住宅改修ではないということに驚きました。利用者様にとっては便利でもそれ以外の家族にとっては邪魔になるということは理解できます。建築士として利用者様もその家族も日常生活に支障のない住宅改修の提案が出来たらと思いました。
国交省の取り組みとして「在宅サービスに対応した住宅を考えるヒント(案)」を紹介して頂きました。まだすべてを読めていませんが、改修のことだけではなく、利用者様のこうれまでの生活も大切にすることも書いてあります。このことを知っているだけで寄り添った聞き取りが出来ると思いました。他に「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」や「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」についてもお話し頂きました。
第2部として『岐阜県建築士会「福祉まちづくり建築士制度」について』立上げから現在の状況までをお話し頂きました。適正化事業で接する方は建築士の役割を理解して頂いていますし、コロナ禍で相談業務が滞っている状態なので「建築士って何する人?」と思っている方が大勢いるということを忘れていたことに気付きました。新潟士会の方や参加した他県の方達は立ち上げるにはどうするかということで岐阜県の活動が知りたいということで参加していると思いますが、岐阜県としては初心を忘れずに活動していかなければならないと思いました。
第3部として『住宅改修の事例「手すりの取付け・段差解消について」・「S邸続編(わが家のこと)」』をお話しして頂きました。手すりや段差の解消は介護保険の改修で一番行われる工事ですが、「誰のための何のための手すり?」、「上がれる高さと安全に上り下りできる高さは違います。」ということを実際の写真や図を使ってわかりやすく説明頂きました。
「S邸続編」では、平成25年の全建女で「わが家の場合」として発表したものに、その後の状態をプラスしてお話しして頂きました。チラッとお話は伺っていましたが、介護等のこんな一番大変な時に「福祉まちづくり部会」を立ち上げ、「福まち建築士」を誕生させたことに頭が下がりました。この思いを発展させるように今後も活動を頑張って行きたいです。
フリーディスカッションの様子
第4部として(一社)新潟市医師会 理事 横田樹也氏、(一社)新潟市医師会 地域医療推進室室長 斎川克之氏、ケアプランナー春 ケアマネジャー 切替敦子氏と司会として(公社)新潟県建築士会 専務理事 相田幸一氏と下川さんを中心にフリーディスカッションを行いました。建築分野以外の多職種の方の質問を受けたり、思いを聞くことはとても重要だと思いました。
新潟福祉まちづくり研究会の方々、貴重な時間をありがとうございました。
令和4年度 第2回 医療・介護・福祉に関わる多職種連携研修会
日時 :令和4年8月22日(月)19:45~21:15
場所 :真正すこやかセンター 1階 ※Zoom併用
出席者:WEB参加 福まち建築士 2名
研修の様子と犬塚貴医師
本巣市の多職種連携研修会にWEBにて参加させて頂きました。
今回は「岐阜市民病院 認知症疾患医療センターの現状」について講演して頂きました。
第一部として岐阜市民病院のセンター長 犬塚貴医師に「もの忘れ外来を中心に」お話し頂きました。
主な認知症の種類と特徴を教えて頂きました。「認知症サポーター養成講座」にて習っていた「4大認知症」は知っていましたが、アルツハイマー型認知症内1~3%程度は「タウオパチー」に該当することが新たに知ることが出来、また認知症のうち7%程度は治せるということに驚きました。早期であれば薬によって症状を遅らせることが出来たり、治せるものもあるということで「早期発見(診断)早期治療」はやはり重要だと思いました。
岐阜県には認知症疾患医療センターは西濃・東濃・飛騨圏域に各1ヶ所、中濃圏域に2ヶ所、岐阜県域に3ヶ所ありそのうち岐阜市民病院が認知症疾患医療センター(基幹型)に指定されているそうです。
続いて、もの忘れ外来の受診の流れを紹介して頂き、最終的にはかかりつけ医にて治療が出来ることも分かりました。また、県内の医療機関のネットでの探し方も紹介して頂きました。「はやぶさネット」→「医療機関・介護施設情報」→「医療機関検索」で最終的には地図も出てくるようです。
研修の様子と村瀬智明氏
第二部として岐阜市民病院の精神保健福祉士 村瀬智明氏に「相談部門について」お話し頂きました。
認知症の方やその家族からの悩み等を専門電話にて相談を受けているそうです。主な相談者は本人や家族が半分以上を占めていますが、救急外来からの依頼もあるそうです。家族へ連絡がつかなかったり、その前に身元さえ分からないこともあるようです。そういった時にも対応できるように「認知症高齢者見守りシール交付事業」を岐阜県下でも行っている市町村がたくさんあることを教えて頂きました。しかし、今回私も初めて知ったのですが、周りの人もこの事業について知っている人は皆無でした。身近に認知症を患っている人がいない方にも周知していないとQRコードを読み取ることも出来ないので、せっかくの良い事業が広まると良いと思いました。
最後に岐阜市市民病院では認知症に関する「研修、啓発、支援活動」を行なっているそうですので、認知症患者が在宅で生活する場合の住宅改修の時の参考になるように福まち建築士の研修にも利用させて頂ければと思いました。
講演会「バリアフリー情報の発信と宿泊客の増加」
日時 :令和4年7月4日(月)13:15~15:00
場所 :京都建設会館別館 4階会議室 ※Zoom併用
出席者:WEB参加 福まち建築士 2名
建築士会連合会の福まち部会の京都府の方よりご紹介があり、京都府建築士会 ハート&ハート研究会主催の講演会を拝聴させて頂きました。
参加者は、会場16名、WEB17名の計33名、内訳は建築士25名、その他8名(観光関係5名)で全国9都道府県の建築士の参加があったそうです。
第一部として伊勢志摩バリアフリーツアーセンター事業プロデューサーの中山めぐみ氏に「『来てほしい人を招き入れる』ために集客戦略としてのバリアフリー対応と情報発信」についてお話し頂きました。令和元年度の全国大会の福祉まちづくりセッションでもお話を伺ったことがありました。(岐阜県建築士会HP参照
https://www.gifukenchikushikai.or.jp/iinkai/machi/-2019/post-2829.html)
この時も思いましたが、バリアフリーに精通した建築士が携わることでその場に適切な提案が出来ることがとても重要だと思いました。また、バリアフリーな施設の紹介ではなく「バリアがある施設こそ重要」でバリアの部分を発信することで高齢者や障がい者が自分でこれくらいのバリアなら宿泊出来ると判断できることが大事だということは目からうろこでした。
また、「オシイバリフリ」も紹介して頂きました。岐阜の福まち建築士にも「バリアフリー珍百景」として惜しいバリアフリーを募ったり紹介したりしていましたが、やはり場所等が特定されるもは掲載できないのであまりうまく機能しませんでしたが、失敗から学ぶこともたくさんあるので、事例として集めて行けたらと思いました。
講演会の様子と勝谷有史氏
第二部として松江しんじ湖温泉の旅館「なにわ一水」の代表取締役社長 勝谷有史氏に「『旅館の情緒』と『バリフリ―・ユニバーサルデザイン』の両立」についてお話し頂きました。
令和元年の全国大会で「観光バリアフリー」について色々聞き、島根県でも力を入れていると聞いていました。その年の10月の個人的な旅行で島根県へ行ったのでいつもの旅行とは違いバリアフリーなところを重点的に見てみようと思っていました。その時たまたま宿泊したのがこの「なにわ一水」でした。健常者である私にも違和感のない仕様でした。部屋を見ることは出来ませんでしたが探検してみると随所に工夫が見られました。目立たずかと言って使いづらくない昇降機もあり感動したのを覚えています。私が宿泊した部屋はバリアフリーではなくコネクティング可能な3世代旅行に対応している部屋でした。扉の謎が解けてスッキリしました。「障害のある人もない人もみんなで一緒に泊まれる温泉宿」として「IAUD国際デザイン賞2020」を受賞しましたが、現在でも順次改修がお粉れているそうです。ここでも「ネガティブ情報」を公表しているようです。また宿泊客だけではなく「従業員」も働きやすいようにバリアを取り払った改修も行っていて勝谷社長の柔軟な考え方はすごいと思いました。
現在はバリアフリーを必要としている方が優先ですが、いつかまた泊りに行きたいと思いました。
講演会の様子と山田和史氏
第三部として京都市都市計画局建築審査課の山田和史氏に「宿泊施設のバリアフリーに関する情報公開制度について」お話し頂きました。
京都市では令和3年10月1日から「宿泊施設のバリアフリーに関する情報の公表制度」を開始したそうです。新築では義務化、既設では努力義務だそうです。令和4年6月末時点では35の宿泊施設が公表されています。バリアフリー情報としては「ハード面」では段差の有無や車いす使用者用のトイレの設置等、「ソフト面」では備品の貸し出しや手話や筆談等のコミュニケーションサービス等を届けるようです。届出書もチェック方式となっていて公表方法もピクトグラムを使用するなどそれぞれのホームページを見るとあちこち見ないと分からない情報もひとまとまりで見ることが出来ると思いました。既設の施設は公表に反対だったそうですが、建築物には手をくわえられなくてもソフト面での対応を積極的に公表してもらうように伝え、一定の理解を得たそうです。
岐阜県の福まち建築士は「地域包括ケアシステム」の構築の中で「住まい」のことに関わることを主として立ち上げている為、観光バリアフリーとはまた違った内容となってきますが、より良い建築物をという観点では同じですし、「まちづくり委員会」の中の「福祉まちづくり部会の福まち建築士」なのでまちづくりの観点からもこのような講演会にまた参加出来たら良いなと思いました。