岐阜県建築士会 まちづくり委員会

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ぎふHM 2023年度

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令和5年度 HM 第16日目

テーマ:寺の耐震事例 実施研修(講義・演習)

    各班による「私が見つけた登録文化財」グループ討議(演習)

日時 :令和6年2月3日(土)13:00~17:10

場所 :(一社)岐阜県勤労福祉センター ワークプラザ岐阜(中会議室)

参加者:21名

 

寺の耐震補強じ事例 改修工事における仕口・継手の事例を学ぶ

 岐阜県建築士会会員 加藤達雄 氏及び 宮大工 丹羽陽一 氏に講義して頂きました。

 上宮寺庫裏は江戸時代中期に建設されており、屋根は瓦葺、壁は荒土壁、基礎は石場建ての建物です。

 外周部は南・西面に外縁が囲み全面開放で、内部は畳敷広間が連続してつながる壁面のない状態。このような建物で耐震指数をクリアする状態にまで改修するには2~3000万円の工事費が予定されるが、住職からの要望により300万円の予算の中で出来る限りの補強が施されていました。

 採光を確保しつつ耐力壁を設置する格子壁がここでも採用されており、90㎜角の角材を使用し、@200で組まれていました。今まで他の事例で見てきたものよりはピッチが粗く、耐力指数は2.5倍と合板同様の解釈をされていました。基礎は手掛けず、書院座敷の天井板、廻縁、長押、鴨居などは解体しないようにして費用の削減がされており、やはり基礎を触ると費用がかさむなと感じました。

 この現場で最重要視されているのは、建物が大破しない、ということでした。小さな損傷でとどめ、人命の確保を最優先としています。伝統工法などの古くて広い建物では、耐震改修による予算は膨大となり、維持管理が精一杯なオーナーにとってはハードルの高い問題となっています。このようは現状を正しく伝え、予算の範囲でできることを行うという姿勢は非常に大切だと思いました。

 

丹羽氏による仕口・継手サンプル

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複雑な仕口                 左が組まれるとこの状態になる

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 また、宮大工の丹羽氏からは金物を使わない仕口、継手についてサンプルを見せていただきながら説明頂きました。部位に応じた仕口・継ぎ手の使い分けやサシガネだけで現場ですぐ角度などの加工が出きる手法はこれからの技術者にも継承していってほしいものばかりでした。

 このような技を設計士も理解したうえで、現場で活用できるようになると素晴らしいと思います。

 

各班による「私が見つけた登録文化財」グループ討議(演習)

 まず、各班による進捗状況を発表しました。ほとんどの班がほぼ完成しており、後は調整する段階となっています。次回の発表が非常に楽しみです。

 

各班による進捗報告             班ごとによるグループ討議の様子

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