岐阜県建築士会 まちづくり委員会

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ぎふHM 2023年度

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令和5年度 HM 第6日目

テーマ:1.国・県指定文化財(建造物)について(講義)

    2.登録有形文化財(建造物)について(講義)

    3.建築基準法第3条の解説と現状の報告(講義)

日時 :令和5年7月22日(土)13:30~16:20

場所 :INNOVATOR'S VILLAGE セミナールーム

参加者:23名

 

外観 INNOVATOR'S VILLAGE(技研G)     内観 コワーキングスペース

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ガイダンス

 岐阜県建築士会の石黒会長から、本日の会場コワーキングスペース(とてもモダンなワーキングS)の説明と挨拶がありました。ヘリテージマネージャー(以下HM)を育成するための本日の講習会の進め方、配布資料の確認、本日の3テーマについて、又、本日の先生方の紹介からスタートしました。

 

A班の当番 受付(資料配布と参加者確認)

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1.国・県重要文化財(建造物)及び国・県補助事業

 本日は岐阜県環境生活部 県民文化局 文化伝承課 伝統文化係 主査 吉村晶氏に「国・県重要文化財(建造物)及び国・県補助事業」について講義を受けました。

 国宝は重要文化財のうち極めて貴重な文化財建造物。後世に護り伝えていくためには、修理を重ねながら保存・活用に努め、適切な修理を絶えず繰り返す基本は変わりありません。建造物では一定年数ごとに屋根の葺き替や、解体修理を一定の周期で行わねばなりません。方法論は数多く在ります。しかし重要文化財は毎年新規の指定案件!増加の一途です。なお一層の組織の強化及び、県の補助事業として上限の見直し等も含めて検討が今後必要かと思われます。

 重要文化財の大半が木造でとても燃えやすく、火災から守るため自火報設備、消火設備、避雷設備は益々重要となり、耐火構造の収蔵庫の完備等、客観的にも考えなければなりません。HMとして活動することは、社会にとっても自分にとっても意義深いものだと感じています。

 

岐阜県伝統文化係 吉村晶氏の講義を受講    二時限目も吉村晶氏の講義を受講

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2.登録有形文化財(建造物)及び登録の各種手続き

 本日は2限目も、岐阜県環境生活部 県民文化局 文化伝承課 伝統文化係 主査 吉村晶氏に「登録有形文化財(建造物)及び登録の手続き」について講義を受けました。

 この制度は一定の評価を得た案件で、重要文化財よりかなり緩やかな制限によって(金銭的補助は薄い)文化財の保護や活用を利用する方法です。登録された建物は機能の追加はかなり自由度があり、所有者の意向を幅広く活用できるのが最大のメリット。外観は残し内装は普通に使えるのです。登録の基準は原則50年を経過し且つ、次のいずれかに該当するものとします。①国土の歴史的景観に寄与しているもの。②造形の範囲となっているもの。③再現することが容易でないものです。

 登録後の各種手続きで必要な場合は、滅出、毀損、現状変更。管理責任者の選任解任。所有者、管理責任者の変更。所有者、管理責任者の氏名、名称、住所の変更があり期限の定め又、罰則も定めています。尚、非常災害時等は届出が不要となっています。その他本年度の登録有形文化財補助事業には補助率、補助額等今後の所有者には必見です。文化財の保護等自らの文化的な基盤を維持し、これを発展させる上で重要であるばかりでなく、世界の文化の多様な発展に寄与することになります。

 

岐阜県建築指導課 吉田尚弘氏の講義を受講   全景 セミナールームでの受講

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3.建築基準法第3条の解説と当該建築物について(講義)

 岐阜県建築指導課 技術課長補佐兼指導係長 吉田尚弘氏に建築基準法第3条の解説と当該建築物について講義を受けました。法第3条の内容と主な関係法令の一部を示します。

 

〇法第3条第1項は国宝、重要文化財等は自動的に建築基準法を適用の除外に。他、同2・3項

 は自治体が指定する文化財、歴史的価値ある建築物は、建築審査会の同意を得て適用の除外が

 可能となる。また構造耐力規定、避難関係規定が適用されない既存不適格建築物については構

 造的に分離し遡及適用の対象としなくても良い。

〇構造耐力関係、防火関係、用途地域関係、容積率関係の規定に適合しない既存不適格建築物等

 について政令で定める範囲内は遡及適用しない。特例の対象となる増築等の範囲を定めている。

〇既存不適格建築物(第87条)建築完成時の旧法の基準で建てられた建物は、その後法の改正で

 既存不適格も、政令の範囲内で遡及適用は不要となります。

〇既存不適格建築物の用途変更(法87条第3項)

 ・既存不適格建築物を用途変更する場合、用途変更時に既存不適格遡及の工事を行う必要があ

  る。

 ・増築等を行う場合は所定の条件を満たせば全体計画認定を活用することが可能となります。

 建築基準法の改正2025年施行は 4号特例 縮小で廃止され構造計算の義務化、確認申請の提出

 等木造住宅の安全性確保へ、省エネ対策の推進と木材利用の促進が進められています。

                               第6日目の育成講座は以上