ぎふHM 2022年度
HM第13日目
テーマ:岐阜市長良真龍寺の耐震改修の事例について(講義・演習)
日時 :令和4年12月3日(土) 10:00~15:10
場所 :午前講義 ハートフルスクエアG 2階 中研修室
:午後講義 真龍寺 岐阜市長良2509-1
参加者:31名
講師紹介の様子 講習の様子
真龍寺の耐震改修工事について(講義)
岐阜高専 清水隆宏氏に真龍寺の調査概要について講習して頂きました。
真龍寺概要 所在地 岐阜市長良2509-1
構造 木造平屋建て(在来工法)
配置 表門、本堂、鐘楼、庫裡
調査史料について
「真龍寺本堂再建地絵図」「真龍寺境内配置図」「本堂見積並約定證券」と記された7枚の資料など。そして、それらの史料が二曲の屏風に貼り付けられて保存されており、紛失を防ぐため、あるいは飾りとして用いることを考えたのか定かではないが非常に興味深い。
研究方法について
1.史料整理
2.実測調査、現状把握、痕跡の記録
3.史料分析、総合的に考察
遺構の分析について
本堂が明治15年に上棟されたことを証明。敷居や虹梁を転用していた。
貫が繋がっていなかったり、小屋組み材が細い材だったり、財政難がうかがえる。
しかしながら、地元の大工集団の協力や、住民の支援が厚かったこともうかがわせる結果となった。
起雲社寺建築設計 野村健太郎氏に真龍寺の耐震改修の概要について講習頂きました。
耐震改修工事に至るまでの流れ
1.森林文化アカデミーと名古屋大学にて本堂の耐震調査が行われた。震度6弱にて倒壊の危
険性があるが木材は健全であるため、耐震改修に耐えられる性能を有していると診断され
る。
2.耐震改修設計を起雲社寺建築設計に依頼し、震度6弱にて倒壊しない耐震設計とする
3.耐震改修工事は競争見積の結果中村社寺にて請け負う。
耐震改修のポイント
●真龍寺の敷地は第一種地盤のため、地震に対して大変有利である。
●屋根荷重を軽くする。葺き土を撤去し、桟葺き瓦に葺き替える。
●基礎を新設
●耐力要素を増やす。数種類の耐震壁をバランスと納まりを考えて配置する。
●水平剛性を高める。
●腐朽部分を改善する。
現地の施工状況の写真を交えて、ご説明して頂きました。
耐震改修工事の結果
●耐震性能の変化を測定するため、常時微動測定を行う。
●耐震工事前の相関変形角は中地震で1/66、大地震で1/13であった。
●改修工事後の相関変形角は中地震で1/160、大地震で1/36という結果。
計算だけでなく、測定としても確認ができた。
耐震性能が向上したと判断した。
次回のガイダンス
次回14日目の講座【1月21日:重要文化財の保存活用計画について】の説明がありました。
詳細は別途メールにて連絡とのことでした。
真龍寺現場視察(実地研修)
午後からは、現地の真龍寺にて耐震改修の実例を清水氏、野村氏、またご住職にも解説して頂きました。
現地視察風景 現地視察風景
現地視察の様子 現地視察の様子
各班個別ミーティング後、解散。